坂の上には父がいる

 坂の上には父がいる。歩けども歩けども、登れども登れども辿り着けない坂の上に。見上げると、父の背中が見える。後ろを見ると、道は消えている。私は重たい足をひきずるように前に出す。父の背中の大きさは変わらない。黄昏時、燃えるような光に包まれて、父が立っている。ああ、坂の上には父がいる。

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小箱 綾鳥 @mangata

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