七色の飴玉
赤色の飴玉はうさぎの目。タンポポを食む小さな白うさぎ。男の子の膝の上で眠るのが好きだった。
橙色の飴玉は沈む太陽。かわりに夜を連れてくる。こちらに向かって手を振るのは誰だったか。
黄色の飴玉は大輪の向日葵。向日葵に隠れたあの子が名前を呼んでいる。返事をしなければ。
緑色の飴玉は雨上がりの森。まだパタパタと水音がしている。鹿の親子がハコベを食んでいた。
青色の飴玉は雄大な海。うねる波の間で魚が泳いでいる。貝のささやく子守歌はもう聞こえない。
藍色の飴玉は静謐な夜。温めた牛乳と甘いクッキー。誰かがひっそりと故郷の歌を歌っている。
紫色の飴玉は菫の花束。小さな幸せをあなたへ贈ろう。あどけない春がよく似合うあなたへ。
七色の飴玉はわたしの思い出。色とりどりのきらめく日々。硝子の小瓶に詰められて、細いリボンを結ばれて、戸棚の中で眠っている。
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