事故の手記

@mmm82889

事故の手記

              事故の手記


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9月20日(金曜日)


PM3:00〜4:00 きあきのおじちゃん夫婦



 単調な毎日の繰り返しに一日が3日分ぐらいに長く感じられる。まだ少し頭がポーッ、としているところがあるが、これは一日じゅうベットの上で過ごさなければいけないことが一番の理由だと思う。

 早く退院したら頭のボーッ、としたところも早くなくなるような気がする。でも膝の傷はひどく、この傷は予断を許さないと思う。


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9月21日


 今日は9月21日、土曜日。午前中、頭はポーッ、としていたが、それは寝すぎのためであると思う。午後になると頭はハッキリしてきた。

 病院に居ると、頭も体も使わない。早く退院するのが自分には良いと思う。

 いまもまだ現実と夢との区別がはっきりとしない。

 早く退院すれば自分の頭も元に戻ると思う。

 御本尊様の前で題目をあげたい。こういうふうになって始めて御本尊様の前で題目を唱えられる有り難さがよく解るということが自分にも解った。

 

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 9月21日夜


 やっと事故したことを現実のこととして捉えることができるようになった感じがする。でも頭はやはり少し混乱している。事故したなんて… いつも慎重な運転をする僕が事故したなんて… (どうしてでも自分には納得がいかない。)

みっちゃん。江島のおじちゃん。毎日、来てくれる。将来、2人の面倒をちゃんと見なければ。

その他に、母、父。

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今のこれが現実であって欲しくない


 あの日、バイクに乗って大学の図書館から県立図書館へ向かおうとしていたときのことをはっきりと憶えている。夕陽が赤々と照っていて、真夏で、いつもは通らない立山越えのルートをその日は通った。心が弾んでいて楽しい立山越えのルートを選んだのだと思う。いつもは駅前通りのルートを行くのに快適で楽しい立山越えのルートをその日は選んだ。


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9月27日

この頃やっと『これが夢でなくて現実なのだ』ということが解ってきた。

 金子のおばちゃん。江島のおじちゃん。みっちゃん。黒島さん。かつえのおばちゃん。おばばちゃん。まきおのおじちゃん。ふくこのおばちゃん。


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10月10日

  自分はあのとき42,3キロのスピードを出していた。対向車線にはバスが停まっていたため歩道もない狭い道をスピードを出して通りすぎることはできなかった。そうしてバスの後ろから急にクルマが僕の車線に飛び出してきた。僕はすぐに急ブレーキをかけた。そして転倒した。転倒したときに前ブレーキをかけるとともにアクセルを吹かしてしまっていた。


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10月11日

僕はまだこれを現実のこととして捉えかねている。


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10月24日

 僕は小さい頃、いつも卵かけごはんばかり食べていた。




             完

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