第34話「黒装束との衝突。」

「ハーマンド!!援護頼む!!」


「はたしてお前に援護がいるのだろうか?」


俺の言葉に苦笑いするハーマンドを置き俺は体から白い煙を立ち上げた。


そして一気に地を蹴る。


そこらにいた魔物はトカゲ型、人型、クマ型など多種多様だった。


だから急所なんて物は分からない。一撃で仕留めていく為に確実な首を切り落としていく。


姿勢を低く、そして俊敏に。辺りに溶け込む様に。


もののわずかで数十体を蹴散らした辺りで、燃え盛る炎の中を冷静に佇む仮面を被った黒装束の人物を発見した。肩には長い薙刀の様な武器を持っていた。


そして驚く事に自分の影からさっきから倒している魔物達が次々と現れ続けていた。


あいつが根源か。


俺はそう思うと瞬時に地を蹴った。


そして一気に攻撃をしようとした瞬間。

其奴は俺の気を感じ取ったか俺の攻撃を間一髪で交わした。


「なっ!!?」


自惚れていたわけではないが攻撃を交わされたのは初めてだ。


だが俺は瞬時に頭を切り替え其奴に視線を送る。すると其奴は急ぎ胸元から小さな丸い玉を取り出し地面になげつけた。


煙が一気に立ち上がる。


だがその煙に対しおれは、自分を駒のように回転させることで竜巻を発生させる。


煙は瞬く間に掻き消され、黒装束もその竜巻に巻き上げられる。俺は黒装束を発見すると高く飛び上がり黒装束の足を掴み取る。


そしてそのまま地面へと振り落とした。


ドガァァァ!!!


衝撃で土煙が立ち上がる。俺はそのまま地へ降り立つと、ダガーを横薙ぎにし、煙を搔き消した。


だが、そこには黒装束の姿は見当たらず。クレーターだけが残されていた。


「なかなかやる。だが逃がさないよ。」


俺は額に指を当て、眼に魔力を集中させる。


「【千里眼】。」


自分の視界が一気に広がり障害物関係無く全てを見通す。


これはクライス兄さんの捜索眼を真似て自分で作った技だ。と、言うよりも兄さんの捜索眼で一回使う魔力消費量を増やし、尚、流し続けるとこうなったという感じだ。


ニア曰く、この方法が出来るのは俺の魔力量がなければ不可能なのだそうだ。


「いた!」


直ぐに見つけると、俺は地に魔力を流し込む。


「【アースブレイク】」


地面にヒビが入ると一気に底崩れするようグォォォォ!!と地響きしくずれる。そのせいで黒装束は岩に埋もれ身動きが出来ない状態になった。


さて、顔を拝みに行きますか。と俺が動いた瞬間。どこからともなく丸い玉が目の前に投げつけられ閃光が放たれた。


視界が一気に無くなる。


閃光が消え、視界が戻る頃には目の前の黒装束は消えていた。


千里眼をしても最早姿は捕らえられなかった。


千里眼も万能ではなく。結界魔法などを身に纏われたりすると反応しない。


「逃げられたか。」


ふと視線を下に向けると、一冊のノートが足元に落とされていた。


中を開けて見ると、ドンパが街に闇ギルドを通して魔物に襲わせたという書類と署名が書かれていた。


また、灰色魔法石についてが描かれた物、薬物の横流しなど。証拠品となる動かぬ証拠が包み隠さず記入されていた。


暫くして。根本が断たれた為、街は静かになっていく。


その頃にやっとレイドックの騎士達が街に到着し、家々の鎮火などの作業に取り掛かった。


そしてその中に自分の兄。クライス兄さんの姿もあった。


「お手柄だよ。アルの渡してくれた一冊はかなりの証拠品だったよ。。ドンパは以前から裏で何かしていると噂はされていてね。尻尾を掴めなかったのにアレを何処で?」


「黒装束の男を捕まえようとして‥」


俺は事の経緯をクライス兄さんに全て話すと、クライス兄さんの表情が険しくなった。


「事は重大のようだ。後、聞いときたい事が一つあるんだけど、ドンパは鏡の事は話さなかったかい?」


「鏡?なんのこと?」


「知らないか。これは王国の秘密事項なんだけどアルにだけ教えとこうか。絶対に秘密にしといてね。」


そう言ってクライス兄さんは俺の耳元で囁きだす。


「ドンパは王国の秘宝を持ち出したと噂しれていてね。」


「秘宝?何か凄いアイテムなの?」


「あぁ。真実の鏡といってね。映し出したい人の髪一つでもあれば、その人の真実。つまり秘密を質問すると答えてくれるアーティファクトなんだ。」


「!!? ってかそんな重要な事俺に話してよかったのかよ!」


「情けない話。僕と団長も黒装束と対面してるけど、全く歯が立たなかった。それ相手にアルはそこまで追い詰めたんだろ?もしかしたら協力して貰わざる得なくなるかも知れないと思ってね。それに今回の件は国総出で調査しないと危ない気もするんだよね。」


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