第17話「新しいクラスメイト」

翌朝。


ニアが、覆いかぶさる形になった状態で何もしないまま朝になり、一睡も出来なかった俺。


と、言うよりも、自分との長い戦いだった。


「ニア、朝だよ。」


俺はニアの肩に手を添えると、気づいたのか、顔を起こし、薄っすらと目を開け俺を見るなりニアは、可愛い笑顔を見せた。


ヤバイ!可愛い過ぎる!って


「んぐ‥!!!?」


不意にニアが俺の口に口を合わせる。

さらに其処から暖かくて柔らかいものが入ってきて俺の舌を絡めていく。


の、‥脳が溶ける。


「んぐ‥ん‥うん‥ん」


チュポっと、音を立て口を離すニアは、舌をペロっと出し人差し指を当て、少しイタズラっ子風な表情を見せた。


「始めてしたけど、こんなにも良い物‥なんだね。」


「なっ、ななな!」


俺はパニックの余り言葉を失った。


「ねぇ、アル。 ‥もう一回‥しよ。」


ボフン!!俺の頭が沸騰。


思考回路がぶっ飛びそうになる瞬間、母さんが、一階から俺を呼ぶ声が聞こえた。


「朝ごはんだよぉ~!!」


俺は、その声に我を取り戻し、ニアを退けようと、ニアの肩をゆっくりと押し上げ、俺は上体を起こすのだが、ニアが俺の上から退かず、そのまま向かい合わせの座位状態になる。


「あっ‥アル。」


艶やかな声で俺の名を呼ぶニア。


うっこの状況でその声は反則だ。


それに頬を赤らめ、俺の上でモジモジされたら‥。


いや!だが、俺は耐える!


「なっ、何?」


「何かが私の‥、その‥、当たってる」


なぁぁあ!!!


俺はそのまま鼻血を火山の様に吹き出し、意識が弾け飛んだ。


「えっ? アル!? アルぅ~!!」


〇〇〇〇



「情け無いねぇ。」


「情け無いとか言うより10歳の男女を同じ部屋に泊まらす母さんが怖いよ。」


「何言ってんだい。母さんと父さんなんか「だぁぁ!!」


俺は母さんの言葉が聞こえない様に耳を両手で抑え奇声を発する。


「そんなことは子供に言わなくていいから!!」


「なんだい。 アルはおませさんだねぇ。」


「ってか、朝からの会話じゃないからねコレ!」


「ははは、朝から賑やかだね。」


母さんと俺の会話を聞いて、クライス兄さんが笑いながら二階から降りてきた。


クライス兄さんは昨日の事件で、詰所に向かい報告後、警備騎士を要請すると同時に、自分も付近の調査に出ていた為、今日は非番らしい。


それと、サーベルリザードについてだが、クライス兄さんが言うには、魔物は強い順からA~Dクラス、そしてAクラスより上にS、SSと、あるらしく、サーベルリザードは、その数の多さも合わせるとBランクはあるそうだ。 因みにツルカズラのランクはAだったそうだ。


「あ、そろそろ時間だ。カルマ兄さん、ニア、行こう。‥ってアレ? 」


ふと気づくと、カルマ兄さんの姿が見えなかった。


「カルマ兄さんは?」


「カルマなら用事があるとかで先に家をでたよ。」


先に出た?

まぁ、でもこれから何日も学校がある訳で、そんな日が多々あってもおかしくないよな。


俺はその事を、あまり気にとめず、ニアと一緒に学校へと向かった。


道中。


ニアは何やらご機嫌だ。


「なんだか機嫌が良さそうだね。」


「ふふ~ん。‥内緒。」


妙な機嫌で俺の腕に手を通し鼻歌を歌うニア。


まぁ、機嫌が良いなら問題ないか。


教室に入ると、もう既に皆んな揃っていた。


「おう!アル!」


ガルフが笑顔で俺に手を振る。


「おはよう、ガルフ」


俺は皆んなに笑顔を送るが、ベルは俺を見るなり目を逸らしフイッと顔を背けた。


ん~、気まずい。


ガラッ。 扉が開き、ガルシアム先生が教室に入ってきた。そして、それにつられる様にもう一人、黒髮で、前髪をアシメトリーにした人族の少年が入ってきた。 容姿は、シュッと整った顔立ちだが

、何処かキツネっぽく見え、腰には二刀の刀を装備していた。


「皆に新しいAクラスの仲間を紹介する。 この子は特例試験で見事、Aクラスとして認められた、#月影 冬太__ツキカゲ トウタ__#君だ。」


「どうぞ、よろしゅうたのんます。」


【特例試験】


一身上の都合により、試験が受けれなかった者に対しての特別な制度で、別日に受けることが可能とされている。

但し、期日は10日以内で、それを超えると最下位クラスからスタートで、半年に一回ある、昇級試験まで待たなければ昇級することは出来ない。


前世の世界の大学受験や高校受験の人達が泣いて喜ぶ制度だ。


それより、名前がなんだか日本人っぽいな。 それに関西弁?




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