第18話「懐かしの授業は前と変わらず眠かった。」

「どうぞ、よろしゅうたのんます。」


関西弁?それに名前も日本人っぽい。


まさか此奴も転生者? 俺が此処にいる時点で、他に転生者が居たとしても何ら不思議はないのかも知れない‥。


そんな事を考えているとガルシアム先生が早速教科書を取り出し、皆を注目させる。


「早速だが、今日から本格的な授業に移る。 一限目は数学だ。皆、この教科書1ページをひらけ。」


この学園で始めての授業だ。


今思えば転生するまでは、毎日学校で授業受けてたんだよな。


少し懐かしい感じがする。


ってやべ!!今寝そうだった。


そういえば、前世でも授業中は良く寝てたよなぁ。


先生の話が子守唄に聞こえる。


話は変わり、因みにだがこの学園で行われる1日の授業は5限までだ。


前の任務依頼の場合のみ、1日を通すので、他の科目は無しになり、終わったら帰れるのだ。


キーンコーンカーン。


授業の終わりの鐘がなる。ここは前世と変わりはなく、休み時間も10分だ。


「おう!月影だっけか? 俺の名前はガルフだ。これから宜しく頼むぜ。」


「どうも、よろしゅう。

入学が出遅れたもんで、喋りかけてもらえるか心細かったんです。

ガルフさん。ありがとう。」


見た感じ、良い子そうだな。


俺はそう思い、その後に続くように皆んなで自己紹介を済ませると、休み時間が終わった。


次は歴史の授業。


この世界の歴史を辿る授業でこれは中々に勉強になる。


もぉ、かれこれ10年だが、まだまだこの世界は知らないことだらけだ。


また授業の終わりの鐘が鳴り響き、休み時間となる。


「月影って、何処出身なの?」


俺はサラッと気になることを質問した。


「僕は平安出身。」


平安? ますます日本に近いな。


「へぇ、月影君って平安出身なんだ。

名前聞いた時からそうかな?って思ってたんだよ。」


どうやらニアはその出身地について知っている様だ。


「知ってるんだ。」


「うん。確か温泉が有名な場所で、侍っていう人達がいる国だよ。」


ますます日本っぽいな! けど侍がいるって事は前世の様な日本では無さそうだ。


「けど平安って、結構この場所から離れてるよね?私も人の事言えないんだけど。 なんでこの学園にしたの?」


「それは‥まぁ、何かとこっちの方に用事があったから。って事かな。」


月影は少し苦笑い気味に答えた。


何だろう?複雑な理由でもあるのか?


キーンコーンカーン


タイミング良く授業開始の鐘が学園内に響き渡った。


次の授業は魔法学。


魔法学の授業はガルシアム先生ではなく、ピシッとした黒いスーツを着たエリート風な女性だった。


そして、その女性をよくよく見れば、頭からモフモフとした黒いネコ耳に、黒い尻尾を生やしていた。


ガルフが言うにはネコ科の獣人族だそうだ。


「獣人族のペルシアだ。魔法学を担当する。早速だが魔法について説明する。」


ペルシア先生は淡々と俺達の前の黒板に文字を記入し、魔法について述べていく。


魔法とは、人の力では、なしえない不思議な力であり、自然的な現象を起こさせたりするものである。


ただし、その現象を起こさせるには大気中に幾万と存在する、小さなマナ無くしては成り立たない。


マナはいわば自然の源であり、この世界そのものである。うんたらかんたら‥。


‥説明が長い。


どうやら俺は、戦闘や魔法に関しては、それなりの様だが、勉強となると、俺個人の意思の問題の為か、前世と同じく、興味が薄れるにつれ、瞼が重くなっていき、頭が落ちた瞬間。


カコーン!!


俺の頭に衝撃が走り、俺は当たった物を確認する。


当たった物は、どうやらチョークだったようだ。


どうしてこんなものが? と不思議に思い、顔を上げると、ペルシア先生が目の前で以上なまでの殺気を放っていた。


「あ、チョーク取りに来たんですか?」


「馬鹿者ぉ!!!!!」


バコーン!!


教科書で見事にぶっ飛ばされる俺であった。


「初授業で寝るやつがいるかぁ!!」


いたよ?ここに‥。


とは言えません。


「すみませんでした!!」



〇〇〇〇


「ははははは。 おもろいなぁ!アル君は。今年のNo. 1とはとても思えやんわ」


「まぁ、何でもできる奴なんて早々いねぇからな。お前が人で良かったよ。」


「何も其処まで笑わなくても。」


ムスッ、とする俺を、ケタケタと笑う月影とガルフ。


何でもできる。‥か。


そういえばこの10年で、なんでも出来るって感じはなかったんだけどな。

何故今になって出来る事が増えたんだろう? 見られる事が多くなったからか?

もしかして気持ちの問題?‥いや、まさかね。


俺は途中で、その考えを打ち切った。



次は選択の薬剤学。


薬剤学はベルとハーマンド、ヴィオラが一緒だった。


4人で薬剤学の教室に向かうがベルとは相変わらず、気まずい空気だ。


ハーマンドが気を回し、俺とベルが話せる様に話を振るが、ベルは「別に‥」と一言いってフイっと顔を背ける。


がーん!!


なんて愛想がないんだ!


「Zz‥あ‥れ?ここは何処?」


そしてそこは、男子トイレだぁ!!



そんなこんなで、教室に着き席に座ると先生が入ってきた。


「は、初めまして。わわ、私が薬剤学担当です。皆さん‥よ、宜しく!‥です。」


薬剤学の先生は以外にも巨人族の女性だった。


身長230センチと人目見た時の威圧感は凄かったが、見た目とは違い、顔は目がクリクリでとても可愛いらしい。


それに性格は、オドオドとしている。


だけど授業はとても分かりやすく、興味があるからか、とても頭に入り易かった。



さて、いよいよ召喚の授業である。


召喚学の授業は外で行う。


この選択授業へは、ハーマンドとニア、ベル、ヴィオラで向かった。


2つともベルと同じか‥。


心なしか皆も俺とベルの間に気を使っているようだ。


申し訳ない。



召喚学の先生は、白いひげを長く伸ばし、いかにも魔法使いの様な帽子にローブを着た爺さんだった。


「ほっほっ。 ワシはジャイパールじゃ。

宜しくの。 早速じゃが皆に魔法陣の描き方を教える。」


皆が魔方陣を地面に描く。


そして召喚の教えてもらい、ひとりつずつ魔方陣に手を当て、魔力を流し込む。


始めはハーマンドから。


ハーマンドが魔方陣に手を当て、魔力を流し込むと魔方陣が光輝きだす。


そして煙が巻き上がると、掌サイズ程の小さな人型の精霊が現れた。


「「「うわぁ‥」」」と、皆が感動し声を漏らすと、急にハーマンドが一人で話始める。


「‥!!?な、なんだ? え?

君が‥喋っているのか?」


皆が不思議そうにすると、ジャイパール先生が教えてくれる。


「ほっほ。

召喚した精霊は風の精霊【シルフィ】だな。 あれは恐らく、シルフィの念話でハーマンドの頭に直接話かけておるのじゃろう。」


ジャイパール先生が言うには、召喚した精霊とは念話で会話することができるそうだ。


だがしかし、このままでは精霊と契約はまだ成り立たない。


契約をするには精霊からの条件を満たす必要がある。


それをクリアできれば精霊に名を付け契約。だそうだ。


だが、精霊によっては召喚者を一度見ただけで名をつけられ契約する者もいるそうで、その精霊がシルフィであった。


「そうだな。‥エメラ。君の名前はエメラだ。」


シルフィは喜びをハーマンドの頭の上をクルリと飛び回り、表現した。


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