第7話「失言」
入学初日は軽い自己紹介と教科書の受け渡しや、今後の授業の流れなどの説明で終わった。
この学園の主科目は魔法学、依頼任務、歴史、数学となる。
そして選択授業として、召喚学と経済学、魔物学、薬剤学のどれか2つを選択できるようだ。
以上を見るからにして、元いた世界では考えられない科目ばかりだ。
そして俺が選んだ選択授業は、召喚学と薬剤学を選んだ。
ニアミスは以外にも経済学を選び、もう1つは俺と同じが良いと言ったので、召喚学を選んだのだった。
下校時。
「よぉーし、今日はこのくらいだ。明日からは本格的に授業が始まるからな。皆明日から宜しくなぁ」
そう言ってガルシアム先生は教室を後にした。
さて、以外と早く終わったな。
カルマ兄さんは確か、演習場に用事があるって言っていたし、1人で帰るか。
そう思い席を立つとニアミスが話しかけてきた。
「アル、もぉ帰るの?」
「うーん。特に用事もないしね。ってかその呼び方‥。」
「昨日、家族にアルって呼ばれてたから私もそう呼ぼうって思ったんだ。ダメ‥かな?「全然いいよ」」
俺が即答で答えると、ニアミスはまた可愛い笑顔を作る。
っつか、チョコチョコ使ってくる上目遣いが可愛いすぎだろ!
「良かったぁ。 いきなりアルって呼んで馴れ馴れしかったかなぁ、とか心配しちゃった。」
全くもってそんなことはありません!マジで可愛い!
「あっ、そうだニアミス。それなら俺もニアって呼んでもいいかな?」
「ニア? ニアかぁ‥。うんうん!」
ニアミスは首を縦に二回頷くと頬を赤らめる。
これは、嬉しい‥って素ぶりでいいんだよな?
「いいかな?」と俺が尋ねるとニアミスは俺に飛び抱きついてきた。
「いいに決まってるよぉ!私、あだ名なんて初めてだ。 ありがとう!」
ニアは喜びを態度で表現し、俺より身長の低いニアは、頬を赤く染めながら俺を見上げる。
っつか、身体にあたるまだ未発達とはいえ柔らかな物に反応しそうな俺のアレが、ニアに当たりそうになり腰を下げる俺。
ニアの可愛いさはマジで反則級だ。
これで制御しているんだからマジで凄い。
「ちょっと!あんた達!ここは学校よ!!もっと秩序というものを知りなさいよ!」
そこへ現れたのは、さっきの自己紹介の時にやたらと睨んできた少女だ。
たしか【ベル・クリケット】だっけ?
唯一このクラスで同じ人間の種族だった子だ。
「おうおう、別にいいじゃねぇかよ。
仲が良いのは悪いことじゃねぇだろ?」
そして、その仲裁に入って来たのは、獣人族の【ガルフ・グライディ】だ。
「そんなことより、昨日のお前の試合見てたんだぜ!負けちまったが、それでも俺達新入生No. 1に相応しい戦いっぷりだったぜ!これから宜しくな。」
ガルフは、握手を求めて来たので俺もその手を握った。
「ちょっと!私の置き去り感がハンパないんですけど!!っていうより貴方!仮にもNo. 1なのよ!さっきの自己紹介は何? なんでも出来るって訳!?」
「ふむ、それは私も気になっていた。昨日あれだけの戦いを見せた人物だ、何かありそうなものだが、」
ベルの話に被せるように話に入ってきたのはエルフ族の【ハーマンド・ラングレー】だ。
「いやいや、そんな事これっぽっちも思ってないよ!。ってよりも‥‥。」
俺は今まで何もしてこなくて、イキナリ戦ったら戦えたと真実を告げた。
「「「ええ!!!!?」」」
「貴方!魔法すら出来ないの!?」
「俄かには信じらぬ。」
「お前、天才なのか!?」
これについては、ニアも皆も驚きの表情を見せた。
「恥ずかしながら俺の持っているこのダガーも昨日抜いたのが初めてで、戦いにおいては全くの初心者なんだ。」
皆、一瞬の沈黙が走る。
考えて見れば、今言った事は失言だったかもしれない。
何故なら皆、それなりの実力を持っているって事は何かしらの努力をしているのだ。
クライス兄さんもカルマ兄さんも天才とは言われているが影ではかなりハードな訓練をしていることは分かっていた。
それなのにも関わらず、何の努力もしらない俺がイキナリ現れて、皆から成績トップを奪い取ったのだ。
もしかしたら、あのテストが違う内容なら落とされていたかも知れない俺がだ。
だがその中、ガルフは沈黙を突き破るかの様にイキナリ俺にガバッと肩組みをした。
毛は以外とフワフワしていて気持ちかった。
「はっはっはっ!お前はスゲェ奴だな!気に入ったぜ!戦い初心者なら俺が戦いを教えてやるぜ。 俺も天才と呼ばれた男だからな! つっても、あれだけの身体能力なら俺の技も直ぐに習得しちまうかもだけどなぁ!がはは!」
ガルフはそんなことはどうでも良いとばかりに笑い飛ばすと、ハーマンドも少し表情を崩した。
「稀にいるんですよね。天才って人がね。 ですが私も弓なら貴方には負けませんよ。」
「うんうん!やっぱり私の見込んだアルは凄いんだ! 私ワクワクしてきたよ!」
正直、ガルフの一言がなければ嫌われていたかも知れない。
この時のガルフの言葉は俺を救ってくれたと言っても過言ではないだろう。
だが、やっぱりこの言葉は人を傷つけてしまったのかもしれない。
納得のいかない表情を浮かべるベルは、手荷物を持つと直ぐにその場を去るよう、教室から出ていった。
「なんだぁ?あいつ。」
ガルフは首を傾げると不意にガタッ!と物音が聞こえ、そっちに皆が顔を向けると、妖精族の【ヴィオラ・システィーナ】が椅子から床に転げ落ちていたた。
するとまたもや急に「ぬぅ!」と訳の分からぬ奇声を発し状態を起こしたと思えば目を擦り辺りを確認する。
「あ‥れ?‥先生は?」
いつから寝てたんだ!?
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