第6話「学園初日、宜しくお願いじす」

「「「行ってきます!」」」


早朝。俺ら三兄弟は一緒に家を出た。


クライス兄さんは、学年トップの成績を認められ、我が街の中心部に位置するレイドック城からレイドック騎士への推薦状受けたので、それを握りしめ王城へと向かった。


俺とカルマ兄さんは学校へと向かう。


そう、俺は今日から学生なのだ。


学校へ行く通学路の道中。


妙に道行く学生達の目が気にかかり、カルマ兄さんを呼び止め小声で話す。


「カルマ兄さん。なんか見られてる様な気がするんだけど‥。」


「あん?何言ってんだ?気のせいじゃねぇのか?」


カルマ兄さんは、そんな事どうでも良いとばかりにまた前に向き直り、歩き出す。


「いやいや、気になるでしょ普通!」


「そんなこと気にしてどうすんだよ?

それよか、早く学校行かねえと遅れるぞぉ。」


貴方どんだけ鈍感なんだ?本気で気づいていないのかい?


だって、女子達は目をハートにし、身体をクネらせる者がいたり、男子からは敵意のような殺気が放たれているんだよ?異常だよコレ!?


貴方一体この学園で何やったんだ!?



〇〇〇〇


そんなこんなで学校についた。


カルマ兄さんは、自分の教室に向かい、俺も新入生案内表の紙を確認した。


ベルファスト学園は、前にも言った様にクラス別けがあり、成績順にA~Fまである。


そして俺はそのトップクラスのAクラスへと向かった。


教室の扉を開く。


ドカァ!!


急に何かが飛び掛かってきて、俺は吹き飛ばされる。


なんだ?とばかりに、俺の顔に押し当たる柔らかくて暖かいものを掴み上げる。


「やぁ‥ん‥。」


妙に艶やかな声が聞こえ、その掴んだ物を確認すると、なんとそれはニアミスの‥。


お胸でした!?


「アルスのエッチ。」


「なぁぁぁぁ!!!!!!!」


俺は慌てて手を離すのだった。




〇〇〇〇〇〇


「ったく。いきなり飛びついて来る奴がいるかよ。」


「ごめんごめん。つい同じクラスだったから嬉しくなっちゃって。嫌‥だったかな?」


潤んだ瞳で上目遣いをするニアミス。


ニアミスはサキュバスの姿のままだと何かと面倒だと言う事で尻尾、ツノ、翼は魔法で見えない様にしている。


あと、サキュバスの特性【#魅了__テンプテーション__#】が弱まる、青く光る腕輪を装着していた。

なんでも家宝なのだとか。


「う‥。い、嫌じゃないけど。」


ってか俺も嬉しいけどね!とは言えない。


「そっか!良かった」


無邪気に八重歯をだし、笑うニアミス。


可愛い‥。


って言っても前世じゃ15で、こっちに来てから10年足したとして、見た目は子供でも大人なのかもしれない俺が、10歳の女の子にトキメクなんて犯罪なんじゃ‥。


いや!だけど、ニアミスの胸はもう立派な‥。


って何考えてんだ俺はぁぁあ!?


恐るべし!サキュバスマジック!!!


「‥アルス?」


俺が頭を抱え心と葛藤していると、ニアミスに心配をかけてしまったみたいだ。


「大丈夫、大丈夫!#無問題__モウマンタイ__#だよ。」


「もう‥パイパン?」


その言葉の意味が分からず首を傾げるニアミス。


ワザとなのか?本気なのか?


「な、なんでもないよ。 気にしないで。」


俺は笑って流そうとすると、妙にニアミスは、その言葉の意味を知りたがり、口を膨らましながら俺の腕を振り回す。


「えぇ~。何なのアルスぅ!パイパンって何? パイパン気になるよぉ。パ、イ、パ、ン~! ねぇ~!」


(お願いだから俺に聞かないでくれぇ~!!!)


そんな時、救いの手を差し伸べるかの様に、教室の扉がガラッと開く。


「煩いぞ其処!席につけ!」


どうやら入ってきたのは、このクラスの担任のようだ。


何故解ったかというと、新入生案内表にAクラス担任の似顔絵が記載されていたからだ。


似顔絵の印象通り、黒髮ボウズでアジア系の顔つきだ。だが似顔絵で見るより厳つい顔だし、高身長の上、ボディービルダーかのような筋肉はさらに厳つさを増幅させていた。


「よーし。皆席についたな。先ずは自己紹介だ。俺は今日からこのクラスの担任になるガルシアム・ロックだ。よろしく頼む。」


ガルシアム先生は頭を一度下げ、起こすと、ニカッと笑顔を見せた。


思ったよりも人の良さそうな先生のようだ。


「早速だが出席をとる。呼ばれた奴は軽く自己紹介を頼む。」


Aクラスは俺とニアミス合わせて6人だ。


やっぱりトップクラスになるには、それなりの実力が無ければならないのだろう。


何故なら、今年入学した新入生600人中の、6人しかいないのだから。


1人1人自己紹介していく。


「【ベル・クリケット】。呼び名はベルでいいわ。得意なのは魔法。以上よ。」


種族: 人

性別: 女

身長:135センチ


金髪の綺麗な長髪をツインテールに束ね、赤いリボンをつけている。

容姿も文句なしの美少女だが、少しツンツンしているようにも見える。

と、言うよりもやたらと睨まれているような気がする。


「【ハーマンド・ラングレー】。

得意なのは弓です。以後お見知り置きを。」



種族: エルフ

性別: 男

身長:140センチ


初めてみるが、エルフ族は美男美女しかいないらしく、やはりこの男の子も綺麗でキリッと整った顔立ちをしていている。


そして何より長命であり一定の歳になると人と比べ10年遅くなる。


後、その為か子供を授かる事が難しく、エルフ族の子供は非常に少ないらしい。


種族の特性としては耳がかなり良いらしい。


「【ガルフ・グライディ】。得意なのは格闘だ。宜しく頼む!」


種族: 獣人

性別: 男

身長:145センチ


人型だが身体からはフサフサと毛が生え、顔はオオカミ。正にオオカミ男だ。


これを聞けば怖そうな印象だが、見れば以外と明るく、ひょうきんにも親指を立てて感じの良さそうな奴だ。


結構話しかけやすいかも。


種族特性としては何科にもよるが、獣人族は他の種族よりも筋肉のバネが凄いらしい。


「【ヴィオラ・システィーナ】。得意分野‥Zz‥!!?あ、‥剣‥かな?宜しく。」


種族: 妖精


性別:女

身長:128センチ


可愛いらしい顔立ちに、オレンジ色の髪をショートボブ系に切ってはいるが癖毛なのか色んな所から飛び跳ねている。


妖精族はエルフと同じく長命であり一定の歳になれば成長が遅くなる。


だがエルフは20代ぐらいで成長が止まるのに対し、妖精族はまだ幼さの残る10歳ぐらいで成長が止まる。


つまり今がその時。


また、妖精族には必ず頭頂部から何本かの触覚が生えていて、先端に光る丸い玉がついている。


この子の場合は頭頂部に一本、可愛いらしい感じだ。


だが何にしても眠たそうだ。


いや、もう寝てしまうんじゃないだろうかと思うほど眠たそうだ。


「【ニアミス・マーキュリー】。得意なのは‥魔法かな?宜しくね。」


種族: 魔族

性別:女

身長:133センチ


ロリを絵に描いたようなロリで滅茶苦茶可愛い。


後からクライス兄さんに聞いた話なのだが、サキュバスは、魔族の中でも位が高い存在なのだそうだ。


ニアミスも人間でいう、貴族とかの存在なのかな?


そして俺。


「【アルス・ホーエンツ】。

得意な物はわからないので、これから見つけたいです!宜しくお願いします!」


性別:男

種族:人間

身長:138センチ


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