何処も行く場所を決めてね~っ!
結局ノープランのまま、朝を迎えてしまった。
ベッドではポメ夫がグーグーと寝ている。
いつもなら朝の散歩に行く時間なのに、中々起きてこない。
まぁそれより今はデザイアーと何処へ行って何をしようか、その事で頭が一杯だ。
まさか中学生同士がホテルのスィートルームを貸し切るなんて出来ないし、既にどこのホテルも予約で一杯だ。
あぁ~、こんなことになるならもっとデザイアーの好きな事をリサーチするべきだった。
約束の時間が近づき、オレは身支度をして家を出た。
クリスマスイブにデザイアーと二人きりで何をしようか?
っていうか、これってもしかしてデート?
…デートじゃん!そう思ってきたら、急にバクバクとしてデザイアーを必要以上に意識してしまった。
デートってなると…クリスマスイブだからプレゼントとか買ってやらにゃならんのかもな。
でもプレゼントって何がいいんだろ。
指輪?腕時計?アクセサリー?
うーん、これじゃバブリーなボンボンと一緒じゃないか。
駅までの間、オレはあーだこーだと考えがまとまらずに駅に着いてしまった。
改札口では既にデザイアーが到着しており、オレが来るのを待っていた。
ブラウンのダッフルコートに膝上のフワッとした白のスカートで、意外と脚が綺麗だった。
「おお、デザイアー。わりぃわりぃ、ちょいと遅れちまったい」
「あの…デザイアーって呼ぶの止めてくれませんかね…?その…恥ずかしいんで」
学校ではデザイアーって呼んでるのに、外では他の名前で呼べってか?
「んじゃ、そのデザイアー頭止めて他の髪型にすればいいじゃん」
その見事なまでのおかっぱ頭に真っ黒な髪、デザイアーそのものじゃん。
「中々私に似合う髪型がなくて…」
デザイアーはクラス、いや学年でも上位に入る程の美形だ、髪型なんて色々とアレンジしても似合うだろうに。
「何でそのおかっぱ頭にこだわるのかサッパリ分かんねえんだよなぁ」
少し不思議ちゃんな雰囲気を身に纏っている為か、普通とは違う事をしているのかな。
「…あの。ところで何処へ行くの?」
そうだった。
ノープランのままデザイアーを誘ってしまった。
「うーん、一応色々と行く場所は考えたけど、何処も人でいっぱいじゃん?
どこにしようかと考えたけど、中々浮かばくてさぁ。デザイアーどっか行きたい場所ってある?」
もう、めんどくせー。
デザイアーに丸投げした。
「…えっ。私?私だって何処に行きたいか考えてなかったよ。
てっきり山本くんが決めていたと思っていたから」
だよなぁ、デザイアーに丸投げするのは筋違いだよな…
「うーん、どうすっかなぁ。金はあるんだが、何処に行っても人でいっぱいだし…」
こんなんじゃデザイアーを誘うんじゃなかった…つい勢いで電話した事を後悔した。
どうしよう、こんな寒空の下であーでもない、こーでもないと考えているぐらいなら、最初から誘わなきゃ良かった…
「あれ?山本とデザイアーじゃん?何やってんだよ、こんなとこで?」
振り返ると龍也がジャージ姿で後ろに立っていた。
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