デザイアーとクリスマスイブ
しかし中坊が10万なんて大金持っても、使い道なんて、たかが知れてる。
まず服を買い、ゲーセンで豪遊して、ゲームソフトを買いまくる。
本来ならばオレは41才なんだから、キャバクラとかフーゾクなんかに行ってみたいが、ご覧の通り中2なもんで、そういう所へ行けるワケがない。
ゲームって言っても、この先発売するソフトも知ってるし、オレにしてみりゃノスタルジックな気分にしかならない。
さて、この金どうしたものか。
ポメ夫に高級なドッグフードでも買ってやるか。
…いや、ヤツにはフツーのドッグフードで十分だ。
それにしても中2ってのはこれほど不便な年齢とは思ってもみなかった。
せめて18か20才ぐらいだったら、アダルトなお遊びが出来るんだが…
しかし、どいつもこいつも浮かれたツラしてんなぁ~。
明日はクリスマスイブだからなのか?
この年はまだバブルで、金持ちの大学生が外車を乗り回し、ヴェルサーチやらアルマーニのブランドを着こなし、一流ホテルのスィートルームを予約して、シャンパン飲んでるって話だったけど。
まぁ、女も女で、アッシーくんやらメッシーくんと男を取っ替え引っ替えして、さぞかしいい思いをした頃だ。
まぁ、来年になればバブルが弾けて不況の波が押し寄せてくるんだ、今のうちに楽しんでおけ、ウワハハハハ!
だけど景気に左右されずに公務員になった人はエライ!と感心したい。
最終的には親方日の丸の公務員の方が堅実で賢いんじゃないかなぁ。
それはそうと、明日はクリスマスイブ。
懐もかなり潤っている。
こうなりゃ泰彦や龍也、チャッピーやらを誘ってパーっとクリスマスイブパーティーでもやるか!
…だがヤローばかりのクリスマスイブなんて淋しすぎるだろ…
かと言って誘う女もいない…
うぅ、大金持っても使い道が無い!
あっ、デザイアー誘ってみようか。
アイツは今で言うコミュ障というやつだが、不思議とオレとは話が合った。
顔も悪くないし、頭も良い。
なのにコミュ障ってのは残念すぎるよな。
オレは早速家に帰ってデザイアーの家に電話した。
あぁ、こんな時代にスマホがあればいいんだが…
【トゥルルル、トゥルルル…】
この瞬間がドキドキするんだよな、デザイアーじゃなく、親が出てきたら何て言おうか、オレは頭の中で色々と考えていた。
【はい、中野でございます】
出た、やっぱデザイアーじゃなく母ちゃんだった…
「あ、あの…オレ、いや僕山本と言いますが、デザイアー…いや、恵さんいますか?」
…あぁ~、なんでこうもテンパるんだオレは…
【あぁ~、あなたが例の山本くん?ちょっと待ってね。恵~、山本くんから電話よ!】
例のって何だ?あのバカって言ってるのかデザイアーは。
しばらく間があってデザイアーが電話に出た。
【も、もしもし。あの…何か用?】
何だか警戒されてるような口調だな。
「デザイアー、明日暇か?」
オレは単刀直入に聞いてみた。
【えっ?明日?何にもないけど…】
「じゃあさ、明日クリスマスイブだからパーっとどっかに行かない?金なら大丈夫、オレが持ってるから」
でもどこでパーっとクリスマスイブパーティーをしようか…
【クリスマスのパーティー?他に誰が来るの?】
デザイアーは他の誰かも来るもんだと思っている。
「他?いないよ。オレとデザイアーの二人だけだけど…やっぱ二人だと無理?」
そりゃ二人だと警戒されるわな、フツー。
【…うん、いいよ】
「マジ?じゃあ明日昼間に駅前で待ち合わせしよう」
【うん、分かった】
「それじゃまた明日、バイバーイ」
ガチャっと電話を切った。
咄嗟に駅前と言ったが何処に行って何をしようか?
電話を切った後、オレは机に向かい、あーでもない、こーでもないとプランを練っていた。
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