酒飲もうぜ!

やべっ、こんなところを龍也に見つかっちまった!


「はは~ん、さてはお前らクリスマスイブにデートだな?おい山本、これから何処に行くつもりだよ」


ニヤニヤしながら龍也はオレたちに聞いてきた。


「いや、デートっつうか、二人でどっか行こうかと思ってんだけど…

あっ、龍也お前ん家でクリスマスパーティーやんねぇか?泰彦やチャッピー、謙司も誘って?」


コイツは母子家庭で賃貸マンションに住んでいて、母親は水商売の仕事をして夜は家にいない。


「オレん家でか?そりゃ構わねぇけど、デザイアーはOKなのか?」


「あの…私、その…」


どうやらデザイアーは乗り気じゃないようだ。


「大丈夫だよ、皆デザイアーの事は悪く思ってないから。なぁ龍也?」


「えっ?あぁ、ヤローばっかじゃつまんねーし、女子もいた方が楽しそうだしな」


龍也はデザイアーが家に来る事に反対はしなかった。


「よし、じゃあ今から泰彦達に連絡して龍也の家に来るように電話しよう」


「ところでクリスマスパーティーったってケーキも何も買ってないじゃん?言っとくけど、オレ金無いぞ」


バカヤロー、テメーみたいなビンボー人なんざアテにしてねぇよw


「ケーキでもチキンでも何でもいいから買おうぜ、金はオレが出すから」


何せ有馬記念で当てた108000円が懐にあるからな、ウワハハハハ!


「マジかよ、お前随分金持ってるな?じゃあオレん家で皆呼んでクリスマスパーティーやろうぜ」


龍也もノリノリで、近くの公衆電話でチャッピーに連絡し、来い!と伝えた。


オレも側にあった電話ボックスで泰彦に連絡し、今から来い、と伝えた。


さぁ、どんなクリスマスパーティーになるのやら。


オレは龍也とデザイアーの3人でケーキショップでショートケーキのホールサイズを買い、KFC(ケンタッキー)でチキンを大量に購入した。


「なぁ、山本。お前酒飲んだ事あるか?」


不意に龍也が聞いてきた。


「酒?お前酒飲むのかよ!マズイだろ、それは!」


オレは最初に酒を飲んだのがハタチを過ぎた頃だから、大学生の時だったと思う。


それが龍也の悪のりに乗じて中2で飲酒することになるとは…


「デザイアー、酒飲んだ事あるか?」


オレはデザイアーにも聞いてみた。


「えっ…お酒?それはちょっと…」


デザイアーは返答に困っていた。


「まぁまぁいいじゃねぇかよ。ケーキとチキンだけじゃつまんねぇだろ?

ほら、コンビニでビールでも買ってこうぜ!」


この頃は未成年でも酒やタバコが普通に買えた。


結局コンビニで1ダースの缶ビールを買い、玩具屋でアメリカンクラッカー等を買い、3人が両手に荷物を持ちながら龍也のマンションへと向かった。




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