犬の名前を考えろ~っ?
放課後オレは茶坊主の腕を引っ張り、校舎の裏に連れていった。
「山本智さん、何するんですか?」
コイツはどういうワケか、オレをフルネームで呼ぶ。
「いちいちフルネームでオレを呼ぶのかよ!何だかめんどくさいヤツだな、お前は」
ホント、コイツは理解不能なヤツだ。
校舎の裏では、よく龍也がチャッピーを見張り役にさせ、タバコを吸っているのだが、今日は龍也はチャイムが鳴ったと同時に校門を出た。
しかし、校舎の裏の狭い隙間の足元には無数の吸い殻が捨ててあった。
あのバカ、こんなに吸い殻散らかしたらいずれバレるだろう。
目の前の焼却炉に放り込めばいいものを…
まぁ、どうせオレには関係ない。
龍也は中3の一学期にここでタバコを吸っているのを先生に見つかり、こっぴどく怒られる予定なんだよな、ギャハハハハ!
しかし、未来を予知出来るってのは便利だなぁ~。
で、この校舎の裏に茶坊主を連れて、オレは聞いてみたい事があった。
「おい茶坊主。お前あのジジイみたいに杖とか使わないみたいだけど、何か道具持ってないのか?ドラえもんの四次元ポケットみたいなのは無いのか?」
コイツから道具をパクって、それを利用して徳を積む。
で、1日も早く妻や娘の待つ2017年に戻らにゃならん。
「道具ってどんな道具ですか?
私、四次元ポケットはありません(^^)」
アッサリと返事した。
「使えねえヤローだな、テメーは!何でもいいから便利な道具持ってないのかよ?」
これじゃまるでオレが茶坊主にカツあげしてるようなもんだ。
だが、オレはどんな手を使ってでも、徳を積み、早く現代に戻りたい。
「道具というのはないですが、便利な物はあります(^^)」
何っ?
「お、マジか?どんな道具なんだ?」
ちょいと食い気味に聞いてみた。
茶坊主はバッグをゴソゴソと探り、ガシャポンみたいなカプセルに入った物を取り出した。
「おい、何だこれ?ガチャガチャのカプセルじゃねえかよ!」
オレはそのカプセルを手に取り、中を見た。
動物のような小さいミニチュア人形みたいなのが入っていた。
「ちょっと待ってください(^^)
これを開けるには私じゃなきゃ出来ない呪文を唱えないと開ける事は出来ません(^^)」
…呪文…ジジイの時より数倍インチキ臭い…
茶坊主はカプセルを地面に置き、ジジイと同じように業界用語みたいな呪文を唱えた。
しかも何故か振り付きだ。
「チョーチョーチョー、イイカンジ、チョーチョーチョーチョーイイカンジ。
ワタシハアレンジリョウリトクイデス。
チュウビデチャーハンイタメマス。
オマケニイマダニドーテイデス」
…何だこの呪文?
しかもこの動き…リズム感が全く無い…
多分、多分だが、茶坊主はモー娘。の恋愛レボリューション21の振り付けをしているんだと思う…
にしても、リズム感ゼロだw
見ていて大真面目にハァハァ息が上がりながら振り付けをしている茶坊主を見て、オレは腹を抱えて爆笑した。
「ギャハハハハハ、何だそのリズム感の無いダンスは!放送禁止レベルじゃねぇかwww」
ひとしきり踊った後、茶坊主はカプセルの中に入ってる動物の形をしたミニチュアの人形らしき物を取り出した。
するとそのミニチュアは徐々に大きくなり、犬みたいな動物の大きさになった。
【ワンワンワンワン!】
「何だ~っ!急に大きくなって!これって犬だよな?」
オレは茶坊主に念のため聞いてみた。
「はい(^^)これはポメラニアンという、愛くるしい小型犬です(^^)
このポメラニアンが山本智さんを良い方向へ導いてくれます(^^)」
はぁ?犬がオレを導く?こりゃ筋金入りのバカだな、この茶坊主は。
「私ウソはつきません(^^)
ただこの犬はまだ名前かありません(^^)
この犬自体が納得する名前を考えてください(^^)
納得のいく名前なら、山本智さんに懐いて、きっと良い方向へ導いてくれる災いの犬です(^^)」
災い起こしてどうすんだよ!バカかテメーは、この円柱頭が!
【バシッ】
オレは茶坊主の円柱みたいな頭をひっぱたいた。
「ふざけんな!これ以上災いを起こすつもりか、テメーは!」
「痛い!間違えました(^^)災いじゃなく、幸いに導いてくれます(^^)」
…ウソくせー。しかしよく見るとつぶらな瞳に愛くるしい顔、そしてややもふもふした毛並みに茶色がかった毛色。
ポメラニアンてのは可愛いじゃないか。
で、この犬に付ける名前か…
「んじゃあ、まずはポチ!」
【ガルルル~っ!】
怒ってるみたいだな。
「じゃ次はタロー!」
【ガウガウガウガウ!】
オレの周囲を走り回りながら吠えてる…
どんな名前ならいいんだ?
この茶坊主もめんどくさいが、この犬はそれ以上にめんどくせ~っ!
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