転入生、宇棚ひろし

『アイツ、かなり危なくねえか?』


『しかし、頭の形いびつだよなwww』


皆、茶坊主のナリに注目していた。


袖の短い学ランに、裾の短いズボン。


何だあの制服は、見れば見るほどマヌケに見えてくるw



翌日、宇棚は転校生として、オレのクラスに転入した。


「皆さんはじめまして、宇棚ひろし言います(^^)

以前は静岡県にいました(^^)

静岡はサーカー大国です(^^)」


ハキハキとしかもデカイ声で話すのはいいが、サーカーって何だ?

と教室内がザワザワし始めた。


『サーカー大国って何だよ?』


『さぁ…』


『しかし、老けてないかアイツ?中2には見えないぞ』


『サーカーじゃなく、サッカーじゃねえのか?』


『プッwwwサーカーw』


『頭悪そうな面だなおいwww』


『ギャハハハハ!』


自己紹介で茶坊主は墓穴を掘ったw


何がサーカー大国だ、サッカー大国だろうが、横文字が弱いというが、弱い云々の問題じゃないだろ。


とにかく一発目から強烈なインパクトを残した。


アホだというインパクトをw



しかしコイツ、オレのお目付け役だと言いながら、オレがコイツのお目付け役になりそうな予感がする。


茶坊主の席は真ん中の一番後ろの列に座り、隣には幼稚園からの幼なじみの相沢優季(あいざわゆうき)の隣だ。


この優季は何かにつけてオレに説教をたれてくる。


校内ではあまり接点を持たないようにしているが、校門を出ると、オレにあーだこーだとうるさい。


「サッチャン、勉強しないと行く高校が無くなるよ?

中卒なんて嫌でしょ?少しは勉強しなさいよ!」


ちなみにオレは優季に【サッチャン】と呼ばれている。


それは大人になった今でも(2017年な)そう、言われている。

ガハハハハ、バカめ!


オレは2年後には共学の都内の私立校に通う事が決まってんだよ!


いや~、しかし未来を予知出来るってのは楽でいいなぁ。



後ろを振り向くと、優季が茶坊主に教科書やらノートやら見せて、今はこういうところを勉強している、と教えている。


「相沢さん、ありがとうございます(^^)

私、静岡では勉強の鬼と言われました(^^)」


デケー声で何ほざいてんだ、横文字弱いくせにw


茶坊主の発する言葉にクラスの連中は爆笑する。


『勉強の鬼だってよw』


こんな感じでこの茶坊主はウチのクラスに入った。


どっからどう見ても中2には見えない、老け顔のトッチャン坊やだw


しかし、コイツがオレのお目付け役とは…



ジジイの方がまだマシだったんじゃないか?

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