第19話「ロアンヌとルマンド」
『ということで、そろそろ時間だ、次のスキルゼーレもこの街にあるよ。どうやら何らかの事件が起きてるらしいから、それを調べてみるといいかもしれないね。それじゃあ、また死んだときに会おうね。ばっははい!』
とまたしても言いたいことだけを言って、ブルボンはパっといなくなってしまった。こちらだって、いつもいいたいことあるんだけどな。
あたりから白い女神の間から、ルミィの部屋へと切り替わる。俺たちはすっかりその様子に慣れっこだが、
「うわっ、ほんとうに今の話、夢とかじゃにゃかったんにゃ!」
と猫耳娘のロアンヌは大層驚いた様子だった。
「残念だがそのうち慣れるよ」
俺は、まったく感情のこもってない声でそう伝えた。これに慣れるということはその分だけ死ぬということなんだ。
「それにしても、この街に起きてる事件って何かしらね。ロアちゃん分かる?」
ブルボンはさすがになれた様子でさっそく状況整理を始める。
「……そうだにゃあ、私もここ四日位の記憶がにゃいけど、最近子供が急にいなくにゃってるって話を聞いた気がするにゃ。今どうにゃってるかわからにゃいけど」
相変わらず、ロアは猫癖が抑えられないようだった、猫語もさることながら、なぜか座り方までネコだった。
そのおかげでパンツが見えそうだったが、両手をだらんと足の間に垂らしているために見えない、いやそもそもロアはホットパンツをはいているので見えるわけがなかった。
っていうかロアは美脚だなあ。
「ロア、その口癖何とかならにゃい、ないのか?」
こっちまでうつりそうだ。
「気を付けてるけど、どこかにどうしてもにゃが入るにゃ」
それは仕方ないにゃ。
「まあ、いいじゃない。可愛いし、それよりアルフさん子供が急にいなくなる事件気になりませんか。もしかするとスキルゼーレの魔物の仕業かもしれませんよ」
そうかな、俺としては子どもが家出するくらい普通だと思うけどな、俺には両親がいなくて親方に育てられてきたけど、しょっちゅう家を抜け出して怒られてたもんだけどなあ。
「関係なかったら、ただの時間の無駄になるぞ。俺らには時間がないことわかってるか?」
俺は正論で、ルミィに反論した。まだ300日以上あるとはいえ、時間なんて言うのはあっという間に過ぎるものなのだ。
「にゃ、時間の無駄とはひどいにゃ。オギルビーの子供たちをたすけられるにゃらいいじゃないか。――そうにゃ、弟たちの身が心配にゃ、私が意識を失ってた間一体どうなってるかにゃ」
「そ、それは大変、すぐ弟くんたちの様子を見に行きましょう。いいですよねアルフさん? もしかしたら子供消失事件の話を知ってるかもしれないし……」
まあ、どうせ何か手掛かりあるわけじゃないし構わないか。
しかし3人でロアの弟たちに会いに行く必要もないだろう。時間は少しでも有効に使わないといけない。
「じゃあ、まあ俺は別行動でこの街の様子を探ってみる。スキルゼーレの手がかりとみつかるかもしれないからな」
と提案したのは単純に子供の相手をするのが嫌いだからなのと、せっかくなので初めての街を楽しみたかったからだ。
「……確かに3人で同じ行動してても仕方ないですね。じゃあ、夕方にまたこの部屋で会いましょう」
とくにルミィたちにも異存はなかったようであっさりその意見は通った。なんだろう、ガールズトークでも楽しむのだろうか、なんだか少し寂しい。しまった、女の子二人を引き連れて街を歩いた方がよかっただろうか。
しかしまあもう後には引けない。
「よし、早速行動に移ろう」
こうして俺はロアの弟の件は任せることにして、オギルビーの街を散策することになった。
23歳にして、初めて生まれ故郷以外の街に遊びに来たのだ!
せっかくだから楽しむぞ。
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