第15話「インタールード」
気が付けばいつもの白い部屋。
ここにいるということは、結論は二つ俺が死んだか、それともスキルゼーレを手に入れたかである。
見渡せば、そこにはくそ女神ブルボンもルミィもいた。
「おいブルボン、どうなったんだ?」
俺はぶっきらぼうにブルボンに尋ねた。
「――おはようアルフォート、オハアル! 君は死んだし、スキルゼーレも無事に手に入れることができたよ」
にっこりとブルボンは答えてくれた、こんなに笑顔なブルボンは初めて見る。なんだか気持ち悪いな。
「なんでそんな笑顔なんだよ?」
「だってねえ、なんとあのコウモリはスキルゼーレ二つ持ちだったんだよ。予想してなかったからうれしくてさ。
そういいながらブルボンは両手でピースを決める。うれしいことなのだろうが、なぜこいつの笑顔を見ると、こんなにムカつくのだろうか。
それにしてもあいつを倒せたということは念のための作戦がうまくいったということか。
あのとき、ドリルで命を奪えないことを考慮して、念のために気絶しているコウモリに対して持っているすべての携帯用オイルを振りかけておいた。こういう使い方をするつもりはなかったが、多めに持っておいてよかった。
あとはもうフレイムを使うことさえできればよかったのである。確実に当てるためにあいつが俺の首もとにかみつく寸前を待った。
俺が死んでしまったためにあいつの死は確認することはできなかったが、こうしてここにいるということは、コウモリを無事燃やし尽くしたということだ。
それにしても、最初から燃やしていれば、俺は死なずに済んだんだよな……。なぜわざわざドリルで攻撃してからなんていう無駄なことをしてしまったんだろう。
ふう、自分の低能さが嫌になる……。
「アルフォートはよくドリルで穴をあけてから、発火させるなんて手を思いついたもんだよ。結果としては、穴にたまった油に火がついて、コウモリの体内に火を届けることになった。いくら油まみれとはいえ外側を燃やしただけなら、相手の命を奪えなかったと思う」
とブルボンは俺が予想してなかった結末を語りだした。
なんだ、あのドリル行為は無意味ではなかったのか……。
「……まあな、炎だけでは心配だったんで危険を冒してでも、穴をあけておきたかったんだよ。いやあうまくいってよかった。」
「本当だよ、普通なら油をかけた瞬間に火を放つだろうからね。あそこで穴をあけに行くなんて言うのは、よほど先を見据えた行為か、とても愚かな行為かどちらかでしかないよ……。」
女神はにやにやしながらこちらを見る。
こいつわかってって言ってるんじゃねーだろうな。
「それにしても、一日この白い空間で過ごすのは辛かったです。もしブルボンちゃんが一緒じゃなかったら、たぶん発狂してました。」
そうか、この間の逆パターンか……。俺が自分と引き換えにあいつを倒したもんだから、その瞬間に俺の体はどこかに消え、ルミィは女神の間に送られたのか。あの空間に一人きりは本当につらいんだよなあ……。
ん、ブルボンと一緒だと!?
「やい、ブルボン! 俺の時は俺のことを一人で放置だったじゃねえか。なんでルミィの時だけ、話相手に現れてんだよ?」
俺は怒りに震えながらそういった。前回はシステム的な何かで現れないのかと思ってたんだが、完全にお前の意志じゃねーか!
「そんなん、アルフォートみたいな野蛮な男と二人きりなんてごめんこうむるに決まってるだろ。ガールズトークなら何時間でも持つけど、君と二人なんて1分で嫌になるよ。――さて、そろそろ時間だよ。次はいよいよ、違う町に行ってもらう」
なんだ、いつもの早すぎる展開は俺と一緒にいるのが嫌だからってことか。てめえで俺のこと選んでおきながら、なんて勝手な奴なんだ。本当に
と心で思ってたら、ブルボンにじろっとにらまれた気がする。
「ここから西に50㎞くらいのオギルビーの街にどうやら、盗みで生活をしている少女がいる。その子が僕の女神センサーに反応したんだ。だから、次の目的地はそこだね。それじゃあ僕はこの辺で、じゃあねルミィちゃんガールズトークまたしようねぇ。ばっははい!」
相変わらずのあわただしさであのビッチは消えてしまった。質問したいことはたくさん残ってるのに……。
一面の白い景色は、一面の森林の景色に戻っていく。どうやら、洞窟の中ではなく穴をあけた地上面で復活できたようだ。良かったこれが洞窟内ならもう一回死ぬ必要があったかもしれないからな。
「私が洞窟じゃなくて地上ににいたからですかね。生きてる方の場所に戻るということでしょうか……。」
ああそういう解釈か。
「確かに死んだほうの地点で復活するなら、この間は地中で復活になって無限に死ぬ羽目になるもんな……。」
「――ええ、それにしても次の仲間は泥棒さんなんですね。仲間になってくれますかね……。」
「花火師、海女に泥棒って、どんな組み合わせだろうな……。魔王に立ち向かう一行とはとても思えない」
「まあでも、仲間は多いほうがいいですよ。それにオギルビーは私の出身地なんで、大体の情報は分かると思います。宿泊先も確保できますしね」
そうか、ルミィはオギルビーから来てたのか、それは助かるな。一度ファウラーに戻ろう、そこからオギルビーに向かう定期馬車があったはずだ。早速オギルビーに向かうとしよう。
【アルフォートたちはエコロケーションとエナジードレインのスキルを手に入れた。 魔王復活まであと350日】
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