第10話「新たなスキル」

「なんだって今まで現れなかったんだよブルボン」

 俺は現れたブルボンに対して詰め寄る。


「いや、だって死んだ場合には一日経過するって言っただろ。あと、スキルゼーレをもつ敵を倒した場合と、死んだときもこの空間に来るって知ってるだろ?」

「それがどうしたよ。」


「君がとんでもない作戦を立てたせいで、ルマンドを殺してしまっただろう。地中で生き埋めになるなんて、全くこの間からひどいことばかりするよね? だから、ファイヤーヘアーを倒した結果、君はこの空間に送られ、ルマンドが復活するまでの間一日この場所で待つ必要があったんだよ」

  その言葉を聞いて、俺はびくっとなった。

 そ、そうかルマンドは生き埋めで死んでしまったのか、生き返れるからまあいいかと思ってたてた作戦だったが、自ら生き埋めになる気持ちはいかほどのものであっただろうか。


「そ、それで生き返るんだよな?」

「ああ、もう後は目覚めるだけだよ。これからは気を付けてね、今回みたいにスキルゼーレを手に入れて、二人が同時に死ななかった場合は片方の復活を一日待つことになるから。なかなかつらいだろう? あの白い空間に一人きりっていうのは……」

 ああ、それはもうよくわかった。途中からはもう記憶がない位、気がくるってたしな。よかった、いつの間にか一日経ってたんだな……。


 やがて横たわっていたルミィがむくっと頭を持ち上げた。

「ルミィ!!」

 俺はすぐさま駆け寄った。片膝を立てて腰を下ろした。するとルミィはしっかり意識があるようで、すぐに俺に聞いてきた。

「あ、アルフォートさん、あの敵はどうなりましたか。」

「……あぁ君のおかげで倒せたよ、すまん作戦とはいえひどいことをさせてしまった。」

 その場でルミィに土下座をした。


「き、気にしないでください。お役に立ててよかったです。」

 気にするなとは言っても苦しかっただろう。思えば火事の時も煙で息苦しかっただろうし、今回は地中で息苦しいという羽目に合わせてしまった。よくもまあ、この作戦を引き受けてくれたものだ。


「本当にすまん……。」

「だから大丈夫ですって、何度でもよみがえれるんですからうまく使っていきましょう。」 

 土下座する俺に顔を近づけてそういった。そして頭を上げるようにルミィは促した。

 すると、突然女神ブルボンが話に割り込んできた。

「さて、無事にスキルゼーレ【フレイム】を手に入れることができたよ。まあ効果の方は後で試して確認してほしい」

 なんだよ急に……。

 そうかあいつを倒したってことは能力が手に入ったってことだ、火の能力とは強力だな。これはずいぶん心強い。


「そして、お二人さんそろそろ時間だよ。次の最寄りのスキルゼーレは『ファウラー』の北にある『漆黒の洞窟』の中にあるようだよ。今度はそこがいいと思うな、それじゃあまたね、ばっははい!」

 あわただしくブルボンはそういって消えていった。相変わらず勝手な奴だ。その瞬間に周囲の景色は一面の白から、昼間のファウラーの市街地へと変わった。目の前にはファイヤーヘアーが燃やそうとしていた親方の屋敷がある。


「おぉさすがに、なんか変な感じがするな。一日あの空間にいさせられてからの現実世界だから……。」

「私は地中にいたと思ったら、気づいたら目の前が真っ白で、そして今ここにいるって感じですね。二度死んだという気が全くしません。」

 そうやっていうルミィを見ると服が土で汚れてしまっているのがわかった。そうか、あの時のままなんだな。さすがにこのままじゃかわいそうだ。


「とりあえず一度親方のところに戻ろうか、あと新しい服も買おう。というか装備を整えないとまずいよな……。俺らはレベルが上がらない以上、装備で補うしかない。」

「……あっ、あ、わたしすごい泥だらけなんですね、全然気づきませんでした。そうですね装備も整えましょう。私の防御力このままじゃやばいです……。」

 ということで俺たちは一度親方の元に戻り、装備を購入しに行くことにした。


【アルフォートたちはフレイムのスキルを手に入れた。魔王復活まであと357日】

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