第14話 作戦決行
やって来ました愛しの元我が家。今回転移する際、先ぱいは抱きしめてくれなかった、無念。
「二日振りでしかないのに、ヤケに懐かしいき気がするな」
門扉の前に並んで立ち、感傷に浸っていると視線を感じ振り返る。すると、ローブのようなものを頭からすっぽりと被った人物いた。目をまん丸に見開き、口を開けて呆然とこちらを見据えている。
「おい、平気なのか、俺たちの姿って見えないんだよな?」
先ぱいに向き直り、ガン見している人物の方を右手の親指で示しながら問う。
「ん、何が?って あ!早くは入りましょう」
先ぱいも漸く気が付いたようだ。
「あっイケネ、鍵がねぇや。…ここから見える手前の棟の二階、あそこが俺の部屋だから跳べない?」
転移出来ないものか尋ねるてみる。
「あぁもう何やってるのよ、台無しじゃない。確認するから、ちょっと待ちなさい」
先ぱいはプンスカ怒りだした、リタちゃんも感情の抜け落ちた目で俺を見る。イタタタタ
「まぁいいわ、いくわよ」
息する間もなく、転移した。
「さすが先ぱい、やるねぇ」
褒めておこうっと。
久しぶりの俺の部屋、客観的に観るとキタナイのな。ビールの缶が転がってる…が、そっとベッドの下に蹴り込む。
「ようこそ、我が家へ」
なんというか、うん、常套句だな。
「今何したの? ねぇ」
冷ややかな目で見られる、缶を蹴飛ばしたのがバレてる。
「お邪魔します」
リタちゃんだけが素直に、挨拶を返してくれた。
早速、持ち出す私物を物色する。滅多に使われることのないトランクケースに服とパンツを数枚押し込む。
「じゃあ、俺ちょっと風呂入ってくるから~。そこに居る兎のウサオとちょっとジャレててくれや」
パンツの替えを一枚準備して風呂へGO!
「ちょっと待ちなさい! あなたは最後よ、先に私たちが入るの。案内しなさい」
なんだと……、そこは一緒に入ろうって言うところだろ。
「あ~わかったよ。バスタオルはたぶん脱衣所に積んであると思うけど、着替えどうするんだよ?」
「私はイメージで何とでもなるのよ、フフン。それにリタは持参してるわ」
準備のいいことで、何だよバレてんじゃん。
「じゃ、こっちだ」
狭い家なので、直ぐ着く。
「………と、使い方はこんな感じだ。時間的に問題ないと思うが早めに頼むよ、俺は居間でテレビでもみてるからよ。
では、ごゆるりとどうぞ」
そもそも神様は風呂に入る必要あるのか? 俺みたいに生身持ってるわけじゃあるまいに。
生着替えに興味をそそられる事もなく風呂場を後にする。
一時間ほど経っただろうか、漸くお二方は風呂から這い出てきた…。のぼせたようだ、冷蔵庫にあったスポーツドリンクを差し出してやる。
やっとゆっくり風呂に入れるぜ。体を隅々まで綺麗に洗い、湯船にまったりと浸かり三十分くらいで出てきた。
お二方は漸く落ち着いたようだった。
「日本のお風呂、気持ちよかったです。ありがとうございます」
安定のリタちゃんクオリティ。
「お風呂いいわ~、欲しいわね」
先ぱいは手首がとても柔らかいのか、くるりと掌を返す発言をする。こ、こいつ…。
再度部屋に戻り帰り支度をしていると、ピンポーンとドアチャイムが鳴った。急ぎウサオをキャリーバッグに乗せ換え、また門扉の前まで跳んでもらう。
転移すると、先程の人物が門の右側でピンポンを押していた。新手のピンポンダッシュかしら?と茶化していると、突然振り向き俺を抱きしめた。
俺が呆気にとられていると、ローブの人物が口を開いた。
「お久しぶりです。約束通り、『また』会いに来ました」
声からすると女性のようだ。いや落ち着け俺、体のラインは完全に女性じゃないか。
女性がローブのフードを脱いだ。
透き通るような白い肌に銀髪、蒼い目をした若い女性だ。ロシア系だろうか、それとも北欧系?
俺は首を傾げる、こんな人知らない!
事態に困り果て、先ぱいの方に首を回し目で問い掛ける。すると、先ぱいは何故か目を細めて頷いた。
為す術なく女性に抱き締められたまま、事態が進展するのを待つことにした。諦めたと言った方がわかりやすいだろう。
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