第13話 作戦前のひと時

 待ちに待ったお風呂作戦決行当日、リタちゃんが満点の笑顔で起こしにきてくれた。直前まで秘密にしようね。

 

 朝食をとり、昨晩渡したレポートについての感想をもらう。

「ここのところが分からないのよね」

 レポートを指摘しつつ、先ぱい解説を受ける。


「しかし、なんであなたの思考が残滓となって還元されるのかしらね。一部とはいえ、人間だから?でも、これが分かればかなり有利なのよねー」


「俺もそれはその通りだと思う。『強い思念』というもの、そのものが俺に集約される『残滓』なのではないか。と考察するのが妥当だろう」

「もしあなたの考え通りだとすると、それは凄まじく大きな力となるのではなくて?」

 だから、困ってるんだよ。


「俺の意見としては、そんな莫大になりそうな力を行使しうる存在が元人間っていうのは、結構危ないんじゃないかってこと」

 俺の常識は、あくまでも人間のもっと言えば日本人の常識の範囲に囚われている。感情論になった場合、暴走するかもしれんのだ。

 まぁ現状は、何もできない只の人間とほぼ変わらないから平気だろうがな。

「未だ仮定の話でしょう」

 『未だ』な。


「結論は急ぐべきじゃないな、まだまだサンプル少ないからわからんな」

「そうよ、長い目でみなさいよ。それと次は精神体、本体の動かし方ね。これについては察しの通り、イメージよ」

「あぁ単純だからこそ、難しいんだよな?」

 うん、どうなんだ…。

「どうかしら、私は最初からこんな感じだし」

 そういえば、先ぱいは元々神様だったとか言ってたな。ズルい。

「これも時間を掛けるしかないわな、訓練せねば」

「結局そうなるんじゃない?あなたはせっかち過ぎるのよ」

 考えることと努力を怠ったら人間そこでお終いなんだよ、一部しか人間じゃないとはいえな。

 堂々巡りでも、何かを切欠に正解にたどり着くとも限らんだろう。


 う~ん、疲れた風呂入りたい。

「で、いつ行くの?」と尋ねると「お昼食べてからよ」返される。


「素朴な疑問なんだけど、なんで先ぱい食事する必要があるの? 食費厳しいんでしょ?」

「うるさいわね、趣味なんだから口出さないでよ!」

 めっちゃ睨まれた。

「余計なことを言いました、ごめんなさい」

 先ぱい怒ると、凄くおっぱいが揺れる。美人の怒る顔ってのも中々乙なもんだけどな、Mじゃないよ。


「あー後さぁ、リタちゃん一緒に連れて行ってもいいかな?」

 リタちゃんの方を観ると首を上下にして頷いている。自分で打診してないのかよ!

「まぁたまには良いかしらね」

 再びリタちゃんを観る、両手を口元に当て感動している模様。美少女がやるから可愛いのだ、おっさんがやっても気持ち悪いだけだ。

「私用に付き合ってもらって悪いねリタちゃん。せ、先ぱいも送迎ありがとうございます」

 リタちゃんに礼をしていると、『私は?』という感じで睨まれた。だから、怖いっての。


「んじゃ、何持ってくるか書き出したり準備してくる。昼飯時になったら呼んで~」

 実は部屋に戻ってもやることはない。でも、空気悪いし逃げよう。脱兎のごとく!

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