第10話 こっそり相談

 先ぱいの居なくなった食堂におっさんと少女の二人だけ、相談しよう。そうしよう。


「リタちゃん下って?」

「下は下ですよ?…ああ、例の石器時代のことです。恐らくは、観察にでも出掛けたのでしょう」

 石器時代を観察に行ったのね、なんだか楽しそうだ。遠足みたい。


「へぇそうなんだ。

 ところで明日なんだけど、実は私物どうこうより風呂に入りに行こうと思うんだけど一緒に行く?」

 お風呂論争の援護をしてくれたので、お礼も兼ねて誘ってみる。

「え!? 一緒に入るんですか」

「チガウチガウチガウ、家の風呂が使えるようだったら順番に入ればどうかな?って。何だったら、銭湯に行くっていう手もあるしね」

 危うく変態扱いされるところだった。

「ごめんなさい、早とちりしてしまいました。ご主人様の許可がおりれば、ご一緒できると思います」

 そっか、先ぱいの許可は必要だよな。

「それで実はお風呂目当てってのは、内緒にしておいてもらえるかな」

 バレたら中止になりそうだな。

「わかりました。ただ付いて行きたいということにしますね」

 よし!明日の準備は整ったぜ。

「じゃ、また後でねー」と客室に戻る。



 部屋に戻って、ベッドにごろんする。そして分離と思ったが、なんだか少し眠いので寝ちゃう。体に引き摺られてるのかな…。


「……てください、お昼ですよ」

 肩を揺すられて目を覚ます。どうやらぐっすり眠っていたようで、すっかり昼飯時らしい。

「お昼ご飯食べますよ、全部食べちゃいますよ?」

「わかった、ありがとう。今起きるからちょっと待ってね」

 眠気眼で起き上がり、食堂へ向かった。


「カップ麺!」

 こんな所まで来て、カップ麺が出てくるとはこれ如何に。

「なんですか?いらないんですか?」

 驚きを違う方向に聞き取られたようだ、怒らないで。

「いやぁ食べる食べる、何というか驚いちゃってさ、俺これにするわ」

 スタンダードなカップ麺の蓋を開けて、お湯を注いでもらう。リタちゃんは五分も待つうどんのを選択。


 う~ん、安定のカップ麺クオリティ。つい先日も食べた気がするな、純粋に人間だった頃の話だけどな。これは美味しいとか答えた方が良いのだろうか・・・?しかし、会話の無いも居心地が悪い。


「あとで体拭きたいから、お湯とタオル用意してもらってもいいかな?」

「お部屋に持っていきますね」

「ありがと」と返し、沈黙を打ち破るのに成功した。

 食べ終わったらまた眠気がやってきてしまったが、部屋に戻る。

 戻ってから気が付いた、着替えがない!流石にこの屋敷に男物の服や下着があるとは思えない。体拭いて裸でベッドに入って、その間に洗濯しちゃおうかな…。乾くかな?仕方ないまんま着ちゃうか。



 明日、私物を取りに行くという案は絶妙なタイミングだったみたいだ。我ながら慧眼の至りだわ、ハッハッハ。

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