第4話:未来に行かなきゃダメですか?

「そんな所だろうと思っておったよ」


えーーーーーーそれはないよ強キャラ臭漂うおじいちゃん。厳しく「それじゃいかん!」みたいなこと言うんじゃないのかよ!なんかこの天国? のいい匂いが甘ったるくだれてしまったじゃないか。


「正直ない方がいい。変に説明をややこしくするだけだ。私も凝り固まった人達に説明するのは嫌いでね」


なんとなく政治家の顔が浮かんだ。それからたまーに遊びに来て「元気になれよw」とか言って去っていった友達でもない奴ら。「あなたの病気は絶対治るから」とかほざいた嘘つきの親。「絶対治してみせます」といって約束を破った医者。


全員「良い人」に凝り固まっている。僕は同情される気もないし、気休めを言われたくもない。なんで握手して「熱いなあ。冷たいよりずっとましだけど」ぐらい気の利いたことの1つも言えないんだろう?


「ボーとしておるが大丈夫かね」


「あはい、すみません」


「謝ることはない。むしろ私の責任でもあるのだ」


僕は初対面にしか見えないおじい様をまじまじと見た。うーん会ったことあったっけな? 多分ないな。僕の記憶の中では。そりゃ小さい時にあってるかもしれないけど「懐かしいわね。私のこと覚えてる? 多分あなたが1歳か2歳の時だったと思うけど」みたいな事を言うお方には見えないし。


見ると年取ってるのに筋肉が程よくついている。真っ白な肌は全身に化粧しているかと思うくらい。顔もキレイで若い頃は「地球上に男はこのお方だけいればいい」と評判になってもおかしくない。僕だって抱かれたい.....女だったらの話ね? どうせこれも書いてあるんだろうし。開くまでもないでしょ。


「それで僕に何のようでございましょうか?」


はっきり言う。怖い。敬語使い間違えたら3時間説教されそう。店員の「1000円からお預かりします」にブチ切れそうなんだよ。膝まづかないで立ってるだけで褒められるべきだと思う。


「うむ。そろそろ私は年をとった。地球を作ってから40とちょっと。君たちの世界で46億年とちょっと。もうすぐおいて死ぬだろう。そして人間界に生まれ変わるのだ」


「失礼ですが、あなたは?」


「神だ。エホバという人もいるだろう」


大体知ってた。でも神様の若い時代なんて想像したくなかった。


「それで私は何を?」


「そうそう。話が途中であった。そこで下見をしてきてほしい。今から人間界に転生するのだ。ただし今君が死んでから人間界は1000年経ったのだが」




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