第3話:神様から直接お言葉を頂いてもいいですか?
「え?なんで時間の伸び方が違うんですか?」
僕の疑問に答えないでイブは手をパッチンした。スカッて落としたけどそれでも僕達はワープした。あれって音に反応するんじゃないのか.....
脳が震えるほど揺らされて僕は意識を失うようにフラッとした。でもそれは一瞬で終わって豪華な部屋の中にいた。
赤に金の装飾がされたじゅうたん。ちょっと土汚れがあるのにそれでもいい匂いがした。
シャンデリアは黄色というよりほのかなオレンジ色だった。なんというか暖かい光に包まれる感じ。
芸術なんてこれっぽっちもわかんないけど壁にかけられた絵はすごいと思った。尖った美しさじゃなくて素朴だけど親近感のある美しさ。
「王宮」の王の部屋感バリバリなんだけど、でもちょっと違う。全部が.....女性的なんだ。男の描きそうなヤバンな部屋じゃない。権威を見せびらかしたくて作ったとは思えない。自分のためだけに作った部屋じゃないかな。全然違うかもしんないけど。
でも1個だけ王宮には絶対に無くてはならないものがここにはないんだ。出入口のドアと反対の方向には階段があってその上にテーブルが1つあるのみだった。
「やあ、君がゲンキ君か。この度はお気の毒さま」
しわがれた声だった。ポンと叩かれた手は弱い力なのに僕の体はビリビリとしびれた。人の肩を叩きなれているというか威圧をかけ慣れているというか。長すぎず短すぎず手で「お前と俺は天地の差がある」
と言ったのは十分すぎるほど分かった。怖い。それだけしか思いつかない。
背が高い痩せぎみの白い老人は僕を追い越して階段をゆっくり上っていった。
(イブさんは? 癒しのイブさんどこいった?)
キョロキョロ見渡した僕は多分よっぽど変なやつに思われたに違いない。呆れた顔で老人がこっちを見てるのが辛かった。
「君がゲンキ・サトウだね。この度はお気の毒だったね。」
さっき聞いたのをもう1回言ったあたりボケが始まってないか?
でもよくわかんないから「はい」とか「はあ」とか言っておく。17年生きてきた勘を信じるしかない。頼む! 変な質問しないで!
「ところで君はどのような哲学をお持ちで?」
キタ━(゚∀゚)━! 訳わかんない質問だー!!
哲学? そんな高尚なもん持ってるわきゃないでしょ!
どうしよう。この場合あると言ってもないと言っても怒られるやつじゃん。でもあると言ってボロが出たら多分地獄送りにされるんじゃないか?
「失礼ながら、死んだ時に持っていた大事なものを全て置いてきてしまいました」
時間が止まったように背筋が凍ってる。冷や汗がにじみ出て白い服が変色してるのが分かる。熱には詳しくてねってそんな考えしてる場合じゃない!
神様の答えは.....?
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