第2話:天国のお世話になっちゃ駄目ですか?
そこにいたのは伝説の美少女.....ではなくなんか変な塊だった。光ってる。丸い? ふわふわしたのがフワフワしてる。でも触れなさそう。それがしゃべってたので元気は0or1D2のSANチェック。.....失敗....正気度を2減らしてください。
と思ったけれど白いふわふわが形をリクー.....噛んじゃった。クリーム状になって地面に広がったんだ。もう1回SANチェックかな? と思ってたけどそうでもなかった。ドロッとした白濁液の水たまりから若い女の子が浮かび上がってきたのだ。
全身にクリームをつけた女の子はたいそう可愛い。
む? まさか今も記録されてる? あーやっぱり。ちゃんと文字化されてるよ。嫌な予感したんだよ。これじゃあ場合によって僕が白濁液が好きなゲス野郎みたいじゃないか。
訂正しなきゃ。「可愛い女の子にクリームがかかっている」これでよし。誤解されないはず。.....誰に?
白い光が解き放たれるとクリームはどこかに行っていた。そこには、ちょうど20代前半くらいのお姉さんがいた。ゆったりとした白いワンピースは全身を隠している。黄金に輝くツヤツヤとした髪に埋もれたい。豊かでも貧しくもない体格は”品”すら感じる。何が言いたいか、そう「the理想」だ。
本には.....大丈夫。おかしなことは書かれてない。あ、theは英語なのね。こんなペースで開いていたら歩きカミノコ・ノシュキとして社会で締め出されないか心配になっちゃう。1日の終わりにまとめて調べるとするか。どうせ直せないし。
とかやってると女の子の口が開いた。声は何も変わっていなかった。
「あなたがゲンキ・サトウですね。」
「はあ元気です。」
ニヤニヤとした恥ずかしい顔が見なくても分かる。咳をしている男がモテる道理が無かったからなー。でもねー、看護師さんにはモテモテだったよ。裸なんか何回見られたかわかんない。毎日見られてた。それどころか裸の下も見られた。なかなか女の子に自分のあばら骨を見せることなんかないよ。いつ見せたの? 毎日でしょ!!.....ああと白衣を着たオッサンとかにも。
「どうしたんですかボーッとして、あああまだ自己紹介がまだでした。私のことはイブ、またはエバとお呼びください」
名前2つあるん? これこそ二つ名にふさわしいような。いや全然違うな。アルファベットの単語をどう日本語読みするかぐらいの差かな?
「じゃあイブさん。どこここ? なんで?」
イブさんは思ったより困惑してた。イブさんとはお友達になれないんじゃないかとちょっと心配。
「圧縮言語は理解しかねます.....。とりあえずわかる方を。ここは天国、または天道と呼ばれる場所です」
だいたい知ってた。というか天国と天道って同じ場所なのかよ。キリスト教と仏教のコラボレーション。
僕は結構勉強家でね。宗教にも詳しいんだ。確かキリストとブッダは友達で一緒に電車なんか乗るんだっけ。そしてブッダのおでこにあるポツでキリストが遊ぶ。楽しいね。
天道はよく知らないなー。演歌歌手?
「その天道というのは?」
「ええ、仏教での呼び方です。一応天国も天道も同じ場所で、あなた達のいた人間界と繋がっているのですよ。」
僕には拭いきれない疑問が浮かんだ。そんなはずないんだよ。だって
「仏教って輪廻転生でしょ? 天国でも人は死ぬの?」
イブさんは明らかに困っていた。もしかしたら僕は天国の行った聖人を論破してしまったのかもしれない。やったぜ。
「ええ死にます」
気のせいだった。僕の勘違いだった。
「ただ死ぬまでの時間が違います。仏教にあるように、天道で行う1回のまばたきは人間界の50年に相当します」
難しくて僕はよく分からなかった。なんとなく花がキレイだなとかちょっと思ってた。.....でもよく考えたらこれヤバすぎね? だってこうしている間にも人間界は200年も300年も経過しているんだよ? 天国恐ろしすぎ!
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