第8話 奇襲②

 逃げ場は、ないようだった。


「大丈夫。ここは先輩たちに任せとけ。」

 壬生さんは御湯さんと距離を取って私たちの前に立った。

「私たちだって、一応戦えます!」

「先輩たちの背中はそんなに心配か?」

 それはすごく安心感のある言葉だった。何があっても大丈夫な気がする、そんな温かい言葉だった。


「勇作、任せてみよう」

「…そうだね」




「殊勝: 評価に値する:」

「簡単に言えばあいつは俺一人で十分な相手だと思ったらしいな!!!!!!」

「そうか:」

 メッシュパニッシュが殴りかかる。

 ホットサプライズが受け止める。


 …

「二人とも柘榴のパワーで殴り合ってる…」

「プライドがあるのかもな」と勇作。

「温は多分盛り上がると思ってやってると思うよ…。」

 御湯さんは殺し合いの場でも盛り上がりを意識してるのか。

「あぁ、あと温の能力は少しね…。」

 少し、なんなのだろう。危ないのかも知れない。普通に考えれば、4対1なのだ。全員で協力したなら、もう少し楽になるのではないだろうか。何か理由があるのかな…


「まぁ、もう少し温の戦いを見てみよう。あいつの能力も見れるかも知れない。」


 …


 タイマンで殴り合う!燃える!!!しかしこの網目男、どうして頑なに能力を使わないのだろう!こいつ、俺を侮っているのか!!わからん!!!!


 ただ、”相手が近くにいるとき使いたくない”という理由ならどうだ! 距離を取りたくないが、俺のホットサプライズは力が弱い!ぶっちゃけるとこの殴り合いすごく分が悪い!!!!!


「思ったよりたいしたことないな: ”距離”とったほうがいいんじゃないのか:」

「いっちょまえに挑発してくるなぁ!!!!!嫌いじゃないぞ!!!!!」


 何があるかわからんが、このままでは俺が押し負ける!


 御湯さんが少し下がる。

「そんなにいうからとっちまったぜ、”距離!”」

「命を投げ捨てて何が面白いのだ: 無謀: メッシュパニッシュ:」

 やっぱり何かしてきやがった!


 するとメッシュパニッシュの周囲が〈網目〉状にばらばらになっていく!


「まずい!!!」

網目の糾弾メッシュ・パニッシュ:」


「温!」『御湯さん!』


「無事だ!!!足をちょっと切っちまったがな!!」

 温さんは確かに無事だった。窓枠にしがみついてぶら下がっている状態であるが。少なくとも、この高さから落ちたら、間違いなく死んでしまう。

 無慈悲にも網目男はその足を止めない。

「止めだ: 網目の糾弾:」

「くそ!!!!!!!」


 そういって御湯さんは手をはなした。


『御湯さん!』










 感想

次回、御湯死す。

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