第7話 奇襲①

 勇作、御湯さん、壬生さん、私の四人でこのマンションの散歩が始まった。

 結構登ったところで、御湯さんのオススメスポットの話になって、強引に連れていかれた。


 御湯さんはすごく熱く、壬生さんは冷静で。温度差がすごい。しかし、息があっていてお互いをよく信頼してるのが伝わる。

「ここから見える景色がいいんだ! 特に今みたいな夕暮れは最高だ!!!」

「あんまり窓開けて騒ぐなよ。外は安全じゃないんだ。ここだっていつバレるかわからないんだし…」

(外、綺麗だな…)

 勇作のことが気にする。

 勇作は時折、私たちの方を見る。その目がすごく悲しそうだった。

 勇作が俯く。

 勇作の父と、勇作の出来事は、正直、地獄であった。勇作はその奇妙な運命に翻弄されながら、必死にここまできて、それを私たちに打ち明けてくれた。

 それはすごく嬉しかったし、私はそのことを受け入れている。

 私が勇作に声をかけるとするならば…


「勇作は何も…」 

「伏せろおおおおおおおお!!!」

 瞬間、私と勇作は壬生さんに吹き飛ばされる。そして壁に何かぶつかる爆音。

「大丈夫かい、二人共。」と壬生さん。

「ありがとうございます!」二人で礼を言う。

 壁を見るとコンクリ片が壁に突き刺さっている。窓側を見た。

 黒ずくめ男と対峙する御湯さんがいた。

「TPOを考えろ!!! 風情もなければタイミングも悪い! 壬生! 二人を連れて離れたところへ!!!」

「敵を無視してお話: 無礼:」

「そうか!! しらん! ホットサプライズ!!!」

 すると御湯さんの背後から頭にグラスを乗っけた柘榴が現れた。

 ホットサプライズが殴りかかる。

「メッシュパニッシュ:」

 すると黒ずくめの男から白黒の網目模様の柘榴が飛び出す。


「奇襲だ!!!! 伝えてくれ!!!!!!」

「急ぐぞ。」

 壬生さんに連れられて階段に向かって駆け出す。

「曲がれば階段だ! 急げ!」

 しかし、曲がった先にあるのは網目にバラバラになった通路だった。


「目の前で行動を大声で伝える: 馬鹿: ククク:」


 逃げ場は、ないようだった。


 立ち竦む私たちを尻目にして、猛る声が廊下の空気を震わす。


「いくぞ! ホットサプライズ!!!」












「………(すごい音したわね、御湯くんかな)」




 感想

 ホットサプライズとメッシュパニッシュの一騎討ち


 狭い廊下での戦闘は楽しみ


 御湯さんの柘榴のことホットスプリングと間違えないように。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る