第12話悔恨。
「確かにあなたの魔法量は膨大です、でも、あなたが外に出ても油断できる程の強さは無いでしょう」
「なぜなら、あなたは基本ばかりで、応用をしていない、石に魔力を込めて動かす。という基本中の基本を知らなかったのがいい証拠です」
はい・・・はい・・・僕はうなずく、何も話してはいけない、話せば先生の話はさらに長くなるだろう。しかし町から帰ってくるなりお説教はないだろう・・・
だが、先生はかなり怒っていると見える、あの、パンツの1枚や2枚盗んだ程度ではげんこつしか食らわせなかった先生がこんなに長くお説教を垂れているのは初めて見た。
「それにその魔力をもってしてもやることが不純に満ちています。誰かを不幸に陥れる夢なんて・・・」
「先生」
「何ですか!」
と食い気味に先生はやや大きな声で返事する、先生が怒るのはもちろんわかる、でも
「僕はどんなに言われてもアイツを殺すつもりです、半年前言いましたよね、僕が未来から来たと、僕が一人でなぜアーリアに来たと思いますか?なぜたった一人で別の、全く違う世界に来れたのか普通不安と恐怖で来れるわけないですよね。」
僕もそこは譲れない___
「すべてを取り戻すためです、彼女も恩人の命も恐怖も怒りも不安も総て、それしか僕にはないんです、あの一夜、全部失った僕には。僕は何と言われようと奴を、エスキテルを殺すつもりです」
先生にはすべてをぶちまけた、今まで喋らないでごめんなさい。というと、「初めて目を見たときそんなことだろうと思っていました」と言われた。、
「解りました、あなたの言いたいことは、でも私はあなたにそれを忘れてほしかった許せてあげる風に育ってほしかったと・・・」
「許せるわけがない!!!」
僕は思いのほか気が立っていたらしい、先生に向かって初めて大声を出してしまった。これとこの後の失態は2年くらいベットでフラッシュバックしそうだ
「僕はすべて失った!アイツが!アイツが来なければ!僕はアーリアに来て魔法なんか覚えずに済んだ今頃滝本と幸せに暮らしていたんだ・・・!!アイツがいなければ・・・また滝本の笑顔が見れたんだっ・・・!僕は幸せでっ・・・滝本がいてっ・・・糞っ!!」
僕は泣きそうになっていた、悔しくてだ、どんなにこのアーリアの地、トルンでの生活が楽しくても、ふとベットの中であの夜を思い出すと怒りで我を失いそうになった、毎日毎日繰り返し繰り返し思い出し忘れられなかった!忘れることなどできなかった・・・!!
今でも僕の怒りはちっとも消えてなんかいない・・・!!!僕はあいつが死ぬまで、死んで滝本が死なない未来を創るまで許すことは絶対にない!!
上の言葉を言い切るか言い切らないかの時に先生に不意に手をつかまれた。そしてこう言われた。
「貴方がエスキテルのことを憎んでいることはよくわかりました、だけど、それはわかるのだけど、「アーリアに来て魔法なんか覚えずに済んだ」なんて言わないで・・・」
「私やアミスとサイランは貴方に魔法を教えているときは、子供ができたかのように愛おしかったのよ・・・!」
と泣きながら言われた。あんなに強い先生が泣いたのは初めて見た、その姿はとても奇麗でまるでどこかの国の絵画みたいだった。
・・・こんな本音を言ったのは初めてだ滝本にもここまで本音を言った事はないのかもしれない、僕は人生で2回も自分の心の底から本音を言える人に出会ったのだと嬉しくなる、可笑しい、さっきまであんなに心を乱していたのに」
「先生達に会えただけでもアーリアに来た意味はありました」と小さくつぶやく、涙は滝本と再会するまで取っておいた、いや、・・・ごめん滝本、少し君と再開した時の涙を減らしてもいいかな?
・・・その日の朝に僕はアスキル先生にこう言われた。
「破門です」
アミス先生とサイラン先生は少し惜しそうに
「う~ん、今から考え直さない?」
「その魔力でやることが復讐ねぇ・・・君のこれからが見たかったが・・・惜しいがしょうがないか・・・」
僕の事を傷つけないように話してくれている思いが見て取れた。
アスキル先生は悲しそうに
「ごめんね、でも私たちの力をそのために使うというのはどうしても認められないの」と申し訳なさそうに言う
僕は「いえ、先生三人はとても優しく常識のある人だと思います。僕に魔法を教えてくれた事、絶対に忘れません、ありがとうございました!」心の底からそう言った。
これからどこに行くの?と先生に聞かれたので僕はこう返す
「風の赴くまま・・・と言いたいところですが、まだ生きている知人に会いたいですね」
「妖精の国「バヤン」を目指します」
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