第11話魔術属性


軽く店内がざわつく。


「え?石を動かすこともできないのか?」「アスキルさんの弟子なのに?」「本当に弟子なのか?」


みんなひどい、この場から今すぐ去りたい衝動に駆られる。


「えっとお・・・」

えらく間を置き、女の子が口を開いた。その可哀そうなものを見る目はやめてくれ心に響く。


「・・・カズトに教えてなかったっけ?」

先生は魔術の基本「増加」ものを増やすことしか教えてくれなかったとコソコソ2人で話す

「・・・アミスやサイランは?」ほかの賢者二人は「修復」と「錬成」しか教えてないですよ!


「・・・そっかぁ」


「そっかじゃな・・・」


ごぉ!と先生の周りから一陣の風が吹く店の床が軋み、壁が台風の時のようにキイキイと音を立てる。


「・・・じゃあこれが、カズトに教える最後の「基本」の魔法になるんだ」


周りの見物に来ていた魔法使いたちは先ほどとは違って打って静かだ、それもそうだろう町の英雄がその弟子に最後のレクチャーをしようというのだから。


今自分が目にしているのは最後の先生なりの卒業試験だと勝手に飲み込む。それくらい真剣な空気を先生は放っていた。



「じゃあまず、カズト・・・魔力を具現化して見せて」先生は言う


女の子が「具現化ぁ!?そんなのたった半年で出来るわけな・・・!!」といったところで


僕は全力で魔法を「具現化」する・・・!確かアミスさんが言ったことによれば・・・自分の周りの背景に色を付けるイメージでっ!


ガガガガッ!!とすごい音が店内に流れる、きっといろんなものが飛んでるんだろうなぁ・・・でもこれは最後の授業だ・・・自分の全力を見せないと・・・!さらに音が激しくなる・・・!


「・・・意味がない!!」僕の全力の魔力は店内を包み青く色を持ち「具現」した。


「すごい・・・!なんという圧力・・・!」

具現とはいっても魔力はモノになったりしない、宿すことはできるけど、だから魔力の具現というのは魔力に質量を持たせるということ!・・・アミス先生はそう言ってたっけ。と心の中で思う。


「・・・じゃあ消えていく魔力を空間にある魔素で「修復」してより強い魔力に「錬成」して」


サイラン先生は言っていた、戦いでこんな風にでかでかと魔力は出す状況はすくない、だけど・・・!


基本もできない魔術師は魔術師とは言えない・・・!!


僕の魔力はさらに増幅していく、店の屋根が吹き飛びそうだ。周りの魔法使いたちは自分達の周りに光の壁をまとい身を守っている・・・


「ライト・ウォール」この魔法を見ていると・・・僕は思い出す、大妖精が僕を死に物狂いで守るために使ったあの大きな暖かい光を・・・!!


僕の魔力はどんどん膨れ上がっていく・・・!!


カウンターにいた女の子は僕を恐怖の対象としてみている。


その目を見ると思い出す、死ぬことに恐怖しながらも僕を元気付け最後まで僕に・・・重荷を任せないと・・・言葉を選んで死んでいった僕の・・・最愛の人を!!!!


同時にアスキルは半年前を思い出す、彼の、カズトの最初に出会った時の暗く禍々しい憎しみの目を、あれは誰かを憎む目だ、何人もそんな人を見てきた、そしてその結末は至極当然に悲しいものだった、だからこそカズトの才覚を見たとき彼女は迷った、彼に力を与えていいのかと


しかし与えてしまった、力を、一体どれほどこの少年は強大な魔術師になるのかと見届けてしまいたくなってしまった、それはいけないことだったのだろうか今はわからない。

振り切るようにアスキルは最後にこう言った


「その魔力をすべて石に注ぎ込むイメージ!!!」


魔力とは「魔」の「力」とはその欲するものが持つ「因果」で決まる、といわれている。としたら彼のこれからの人生はこの膨大な魔力と釣り合うほどの人生なのだろうか、もしかしたら絶望の人生かもしれない、しかしそれが少しでも、ほんの少しでも幸福な人生であるようにと心からアスキルは願う。



「先生が言っていた、魔力は因果で決まる、なら異世界から転移してアイツを殺すという世界を、宇宙を超える因果を持つ僕ならっ・・・!!!!!」




・・・とうとう店の屋根は吹き飛び物は魔力と風にあおられ飛んで行ってしまった。


「・・・やりすぎ。」


と僕の頭を軽く押す、僕は先生に少し怒られたのか。


「その有り余る魔力で何をするの?」と先生に聞かれる。




「復讐です。」




町の英雄の弟子 カズト 


魔力「規格外」


魔術属性「風と闇」


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