第4話24時間の猶予を与える


「は?」


流石に僕は切れそうだ、次に言う言葉は何にしよう「じゃあ何しに君は来たの?」か「もう次から来なくていいよ」か「その羽引き千切ってただの小人にしてやろうか」とかこの内どれかを言いそうになった時妖精の弁解が入った。焦りっぷりから見ると僕はそうとう怖い顔をしていたのだろう。


「い、いやスマンかったプリ!結果的には救うことになるプリ!」


なんだ結局救えるのか、と言い出しそうになったらその場しのぎのおべっかを壊れかけのレディオのようにぺらぺらと勝手に話してきた、くだらない、さっさと本題を話せ・・・そういえばコイツ心が読めるんだったな、と思い出してみる。「脳内で会話することもできるのか?」とかふとてきとーに思ってみる・・・が、妖精も何かてきとーな言葉を喋っていて特に変化はない、がっかりだ。テレパシー能力は一方的なものらしく2人以上との共有はできな・・・「できるプリよ!」


「わっ!」


急な返事にびっくりする今、口から喋ったのか?いや滝本がこちらに向けて何があったのか察知しようとしている、なるほど・・・コイツは・・・「すごいでしょプリ」ああそうだな、「大体10メートル位なら会話できるプリ」そうかい。ちなみになぜこの情報を滝本には言わない「それは、僕なりに君に敬意を払ったプリ」


「君は僕に見せてくれたプリ、勇気と覚悟を。僕はそれに敬意を払い、君の大切な物を怖がらせたり傷つけないようにしようと思ったプリ」


これは僕なりの君に対する敬愛の感情プリとくだらない事を心の中で会話しつつ次に妖精は心の声ではなく口で率直にこういった


「では君たちの地球を、世界を変える方法を教えるプリ」


僕たちはそれを聞いてぐっと身構えた。が、その内容は拍子抜けするほどいや、余りにもお粗末だった。


「君たちの家はここから近いプリか?」

「じゃあ君たちに合わせて、今から大体24時間後位にこの公園に「番人」が来るプリ」

「そいつにはもう事の顛末は言ってあるプリ、そこでエスキテルが戦争を起こす3年前の僕らの世界「アーリア」に行ってほしいプリ」


おいおいおい、もうこの時点で色々おかしいぞ。君たちの家はここから近いか?の次は24時間後に別の世界の、しかも3年前に行ってほしい?色々労働条件厳し杉内


「これでも善処したほうプリ。24時間というのはエスキテルがこの日本に来る時間ギリギリぷり「アーリア」つまりは異世界に行ってほしい理由はエスキテルを君たちの知る方法で「日本にエスキテルが来ない未来を探し」てきてほしいからプリ」


えっ、なぜか自信満々に言ってるけどえっ


「三年前という数字はプリ、実はエスキテルがアーリアで戦争を起こしたのは2年前プリ、本当は30年くらい戻って力のないエスキテルを殺すなりしたいところプリ、しかし僕らの涙と血で作った空間転移魔法でも3年が限界プリ、物事を解決するにはできるだけ時間が必要プリね。僕らが君たちに与えられる時間は3年間プリ」


まてまて、いつの間に時間を操れる魔法を作ったんだ?


「今回使用する空間転移魔法は名の通り「空間、世界の壁を支配する魔法」と、とても大規模プリ。空間を支配する、それすなわち時間も手の内プリ」


異世界に行ったら私たちが帰る方法・・・無くなっちゃうの・・・?


「君たちが行くのは僕たちの過去プリ、今の僕たちが空間転移魔法を作れたという事はいつかは作れるかも・・・知れないプリね」


まてまてまて!!


「じゃあ僕らはなんだ!異世界に行ったら帰ってこれないかもしれないのか!ふざけるなよ!」


おかしい、いくらなんでもそれはないだろう!友達、親、立場すべてを捨てて世界を救え?そんなのたとえ日本を救ったとしても帰れないんじゃ今生の別れと一緒だろう!?たとえ世界を救っても残るのは滝本とどうなっているのかわからない、もしかしたら一文無しの身分じゃ僕たちのメリットがない!


「じゃあ死ぬプリか」


妖精がとてつもなく卑怯な言葉を言い放つ、だがそれでもアーリアに行こうとは思えない、なぜなら僕らは死ぬよりひどい目に会うかもしれない・・・


「部外者ながら言わせてもらうプリ君たちをみて僕は確信できることがあるプリ、それは2人ともお互いがいればそれでいいという愛だプリ」


「君たちが何もせず日本に残るというのならほぼ高確率でエスキテルに日本ごと潰されるプリしかし僕の提案に乗るというのなら少しでも2人で満足して死ねるプリ」


妖精は続けてこう言った


「正直に言うプリ、僕という個体は君たち2人がアーリアに行って日本を救わなくても別にいいと思ってるプリ」


滝本と二人で意外な顔をする。


「結局は日本でエスキテルは死ぬだろうし日本が壊滅しても僕らの世界は別の世界、地球に厄介ごとを押し付けてしまったという後悔の念しか残らない、エスキテルが死んだからと言って僕らが戦況を必ずひっくり返せるとも限らない、それに君ら一般人に頼むんだ、そもそも地球と僕たち両方の世界を救えるという可能性は限りなく低いものと思われるプリ」


「僕はただ君たちが気に入った!だからこのままだと死ぬかもしれない二人にすべてを救えるかもしれないという可能性を提示するプリ!!!」


なっ!と僕が声が出そうになる前に妖精が最後の言葉を言い放った


「決めるプリ!!!滅んでいく日本とこの地で死ぬか異世界でもがいて死ぬかっ!!!」


「・・・今から24時間の猶予を与えるプリ好きに考えて2人の好きなように選ぶプリ!」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る