第2話羽の生えた人
羽の生えた人間、しかし人間というほどの大きさはなく全長で手のひらほどだ
人間は羽は生えていない、大きさも手のひらサイズではない
僕らが生きている世界にとってこの物体はすべてが「違う」いや想像をかけ離れている
「ねぇ・・・「コレ」はなに?・・・」
僕の彼女が不安そうな声を出している、安心させたい一心で小さい脳味噌を回転させこの生物の形に似た名称を僕は言う。
「妖精・・・」
それは、「生物」・・・「生」きる「物」というよりかは一昔前の漫画とか小説で見る空想上の物だが果たしてそれは生きている物と言えるのだろうか?そんなことを思いながら二人でただその目の前にある光景を見据える、見据える事しかできない、コレは動くのか?喋るのか?敵意を持っているのか?いかん、頭がこんがらがってきた
一応ここでは妖精と呼んでおく、そいつが振り返る。
正直、見た目の感想を述べている余裕などなかった、僕らにあったのは僕らの一生、いやすべての人類が見たこともないような世界の現実であるからだ、は・・・は、こんなのが現実とは、僕はもうこの生物が現実にいる物だとと受け止めたのか?
と、言う話を喋ったか頭の中で考えたかという所で妖精が口をパクパクさせて何か言った
頭が真っ白になる、奴はこういった。
「やっといい男に出会えたプリ~!」
「・・・は?」
よく見たらそいつは女っぽい見た目をしていた、プリ?
「プリプリ~~!!」
また言った。
「・・・は?」
僕ももう一回言った。コイツヤバい。
「何この子・・・?可愛い。けど・・・プリ?」
滝本も異次元からの刺客より真っ先に「プリ」に反応している、僕らは一心同体なのだなとか少し思う、いやそんなことなど思っている暇などない。
「見なかったことにして帰ろうか、滝本」
「う・・・うん」
滝本は僕にはかなり素直だ、ある程度のことなら僕のいう事も絶対聞く今回も僕のわがままを聞く許容範囲内だったらしい。帰ろう、家に。
「待ってくださいプリ~!話を聞いてプリ~!」
叫びながら妖精が目の前をチラチラ飛んでいる、正直耳元で騒がれているのでかなりうるさい
「ねえ・・・何か言いたそうだよ・・・?」
「聞いてあげようよ・・・」
ぐぬぬ、滝本に言われてはしょうがない、滝本はある程度のことなら僕のいう事も絶対聞いてくれるのだが実は僕も滝本に甘えられると拒めない。好きな人のお願いだものしょうがないね。
「解った。話を聞いてやろうか、妖精」
「やった!やっぱりあなたたちはいい人プリ~!」
「まずはその「プリ」をやめろ!朝のアイドルアニメを思い出してしまうんだよ!」
「えっ、あれ見てるの・・・?」
滝本に僕の趣味がばれてしまった・・・しかしこれも氷山の一角なのは絶対にバレてはいけない、さあ滝本にバラした分の見返りの情報は吐いてもらおうか妖精!
「いやプリ!」
よし!滝本君!お家に帰ろう!
「わ・・・私はいいと思うよ?可愛いし」
ぐっ・・・ぬっ・・・。
滝本に言われては仕方がない555歩譲って話を聞いてやることにしよう。
お家に帰ろうとする足を止めて妖精の話を僕たちは聞くことにしたのだが奴はとんでもないことを言い放った。
「良かったプリ!実はいきなりだけどこの国は征服される事になったプリ!」
・・・やっぱり帰ろうか滝本と発言しようとしたが滝本はこの程度では一緒に帰ってくれないので言い留まる
しかし日本の征服?今時バカなことをいう奴もいるもんだ。
「アホじゃn・・・」
「アホはお前プリね」
はっ、コイツ何言ってんだ?僕は確かにアホだが面と言われるとやっぱりムカつく何よりその態度はないだろう人に聞いてもらう立場のくせしてバカみたいなこと言って否定されると強い言葉で返すアホなのは明らかにあっち側だ、もうやめたよ滝本、コイツの話を聞くことはもう絶対にない。帰ろう。
「もう一度言う、アホはお前プリ、確かに僕の態度は批判される行為プリ、そこは非難されるところ」
「しかしこの状況を見るプリ「この日本が征服される」これが普通の、君たちで言う人類が突然言い出したらそれは信じるに値しない、ただのどこかの腐った妄想プリ。しかし君らはもう非日常を体験してしまった」
「そう、僕に出会ってしまった。君たちはもう、日常には帰れない」
・・・ほう、中々面白い事を言いやがる、この糞妖精。つまりお前は非日常の存在だ、だから常識で考えるなとでも言いたいのか、筋は通ってなくもなさそうだが馬鹿らしい、それじゃあ宇宙人の言うことはどんなに馬鹿らしい言葉でも真剣に聞け、そうしたらどんなことでもプラスになるとでも言うのか
「馬鹿にするなよ妖精、お前がこの日本を混乱させるために適当についた嘘ってのも考えられるだろう」
「ププ、だったら日本を征服、いや君の言葉で言う混乱させるというのが僕の目標ならば結局は僕たちの目標は今言った「この国が征服される」という結論になるプリ。敵を混乱させるために本当のことをバラしちゃうのはあまり適切ではないプリ~」
「・・・日本の征服というのが真の目的でない場合かもしれない」
「そんなこと言ってたらセールスマンの言葉どころか母親の言葉まで毎日のように疑って生きなければならないプリ、そういう人生でも送ってきたプリかぁ?」
ぐっ・・・僕は黙ってしまった、確かに正論と言えば正論
「え、どうしちゃったの・・・?解らないよ・・・?本当に征服されちゃうの?」
彼女が動揺している、僕はそれだけで悲しくなる、この子だけは一生笑い続けてほしいそう思っているからだ。妖精が言ってることが本当のことであるならば僕は何よりこの子のことを守りたい。しかし信じられない、いくら正論を突きつけられようとも・・・そして悔しいが目の前に妖精がいるという現実に信じなければいけないような凄みがあった。もう僕の中にあるのは彼女を守りたい一心とプライドと地球が征服されるとは思えないという平和ボケした一般論だけだった。やばい、軽くふらつく、今ならどんな言葉でも信用してしまいそうになる。
「君は馬鹿だけど頭の回転は中々プリねぇ・・・」
そう言いながら妖精の口はどんどん裂けていき僕の景色がもやもやしていく落ち着け・・・隣に滝本がいるんだぞ、カッコ悪い所は見せられない・・・落ち着け・・・考えれば考えるほど頭の中で考えたことがぐるぐる回って真っ白になって・・・
「落ち着いて・・・大丈夫だから・・・ね?」
ふと滝本に手を握られていた
「大丈夫、私がいるよ」
そうだった、目の前に大切な物があった、僕は馬鹿だが目の前にある大切なものを掃いて捨てるほどの大馬鹿者にはなれない。どうやら僕は目の前の初めて会う妖精に知らずのうちにかなり動揺していたらしい
「やっぱり君以外あり得ない。」
そういいつつ僕はまっすぐ妖精を睨みつけた。
「面白半分で聞いてやる。詳しく話せ、妖精。」
滝本は真っ赤になっていた。
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