第11話

これで、一時的になんとかなるんじゃないか?

心配ならやらない。しかし、時期は今しかない。どちらをとるか、それは後者だろう。

今やらないと、こっちもただじゃすまないかもしれない。自分のためでもあるし、なにより相手よしものためでもある。

授業中も、いつもより緊張感が増す。なんせ、スクールカーストの上の奴等に、したが挑むとか、現代の下剋上か?しかも高校風情がね。

「あり得ないなぁ、よぅね」

何かよく分からない言葉も出たが、気にしないでおこう。

話が変わるが、今のこの緊張感は、例えるなら、わからない問題について解答を求められたとき……みたいな?まあ、いいか。

いやしかし、落ち着かない。この作戦は、上手くいく気がしない。それほどの賭けをいれてる。失敗すれば、囲まれて蜂の巣にされ、大ケガってことに繋がりかねない。

どんなものか、この昼休みを利用し、相手に聞いてもらわないとな……。

「うぅん……。あっ」

見つけた。

「お待たせ。今日……よね?」

「ああ、詳しい話はいつものところで」


「私が……囮?」

「ああ、そっちに気がいってる時をついて、相手の不利をつかみとる」

これは、私を囮にした作戦。スマホを制服の胸ポケットにいれ、もちろん撮影したままに。

そうして、放課後に彼らは私の財布を目当てに迫ってくる。そこで拒否をするんだそう。なにがなんでも、頑なに拒否をしなければいけない。言うことが聞けないと、腹をたたせた彼らは暴力をする。

「大丈夫。当たらないタイミングを見計らってする。むしろ、中心さえこちらに向ければあるかも?」

私は心配する。つられて顔も不安の表情となる。

「大丈夫なの?本当に?」

「大丈夫よ。最初は囮だけど、後はこっちがやると。ああ、あと心配はいらないんで。自分が事が決してないようにするよ」

本当にすごいと思う。突然、思ってることを言われたときは驚いた。でも今は、何故か安心する。

「……うん、わかったよ」

「授業中おかしかったら、早くこっちに知らせてほしい」

「うん」

チャイムがなる。

「さあ、戻ろう。ここからかな、勝負は、よ?」


こっちの生物の授業も、世界史Aの授業も、小森は来なかった。

そして、放課後になった。校舎にはほとんど生徒はいなくなった。

小森はあれらから逃げている。階段を上がり三階へ。あれは、あえてそうさせている。一の二の教室へ。

「おい!こっち来いよ!」

叫びと共に、何かを叩く音も聞こえる。

彼女は、多くのいじめを被ってきた。

いじめは比べて重さを量ることじゃない。

「おい!」

「ちょい、うるさいよ!いっしー。こういうのは、黙って追い詰めんの」

「ああ……」

声だけ聞く限り、おそらく、脳筋馬鹿な男ひとりと、リーダー各だろう。

「ホントよ。あんた強いのにね?」

「私……頑張ってほしい、な?」

「……」

何か黙ってるねぇ、男。

「……うん」

「うん!がんばってね!」

…………

こんな会話があったよ。どうでもいいが。

小森は下の一階に降りたはず。教室は三の二。逃げに三階、勝負は一階。自分も同じ動き、ただ小森と一緒ではない。

「……ちっ!早くしろよっ!」

なかなか逃げるんで、一人の女が噴火した。

「……待って」

聞いたことのない声がした。

「ああ?……ここ?じゃあ、行くぜ」

見つかったか。

「おい!おっ、カバンあるじゃねーか」

「やめて!」

強引にカバンを取り上げるところを、移動し、ようやく見ることが出来た。

バンッ!と衝撃音を隣の筋肉ムキムキの男が机を叩いて脅す。それでも、

「いやっ!やめて」

財布は小森が持っていた。カバンにはいれなかったようだ。

「くそっ」

男は殴ろうとする。

「お前っ!」

女も殴ろうとする。

隣で笑ってる小さい女もいる。

「……!」

小森は自衛に腕を頭に持っていく。

その他にもまだいたようだ。

それはよしとし、

「おい!」



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