第3話

 教室に入る。学年2年で二階にある。

 席は縦6列、横6列で3と2の場所。前過ぎ真ん中過ぎで、自分としては全く好ましくない席だ。席につくや、すぐさまため息をする。

 ため息したなら調子のいいやつが、幸せが逃げるとかなんとか?いいそうだけど。

 逃げるわけ無いだろ。幸せがないんだから。

 教師が入ってきた。

「HR《ホームルーム》始めるぞ」

 上土井先生が日誌をとり、

「よし、じゃあ森高、よろしく」

「はい」

 日誌を受け取り、担当に森高 真地もりたか しんじと書く。他に天気、休みなどをかく。

 この朝、そのあとの4時間の授業も何事もなかった……。


 昼休み。森高は教室を出る。持参した弁当を持って屋上に行く、なんてことはできない。屋上は使用禁止だ。基本的にはどこも駄目だろう。よって、近くにある部屋に入って一人で食べている。

 食事している最中、窓から屋上に上がる生徒を見た。10人は行ったはず。そのうちの一人の女子生徒は嫌そうに、しかし逆らえずにいる感じがある。

「これは…」

 関わらない方がいいはず。ここ一年間の出来事からそう思う。


 その出来事とはということ。


 関わらない。そう思った瞬間、再び周りが見えなくなった。

 もとに戻ると、

「えっ……」

 驚きのあまり言葉を失った。気づいたら、自ら屋上に行っていたのだから。

 来ていた生徒もこっちを見る。

 いや、俺だって不思議におもうわ!と言いたくなるけど、男子生徒が、

「おい、早く失せろよ」

 次の男子も後の男子も、失せろと言う。すると、女子が男子を抑えるためか、

「あんなの無視でいいよ、どうせカンケーないし」

 男子が納得したか、そうかと次々に一人の女子へ目が向く。

 何が起こるんだ……。

 目を凝らし見ていると、彼女は落ちていった。

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