それぞれの覚醒(後)
◆
スプーが
スコットの『かまいたち』が『水竜』を
スプーはなかなか手のうちを明かさない。あくまで〈
ただし、速度面で
スコットは接近をさそうような敵の動きを
しかし、
スコットはそれを『氷』に求めた。彼の
「『氷』も使えたのか」
「つたないけどな」
そして、太いほうを
体のいたるところから、黒色の
「
「この力を使うのは
スプーが
触手の力はせいぜい人間と同程度だったが、
スコットは
自由な両手で『かまいたち』をお
スコットの右手から、触手が二つの指輪を
スプーは
「
「あいにく、そんな変テコな名前のやつは、知り合いにいないな」
「この体とは長い付き合いなんだ。それだけ
「
「
辺りをただよっていた
「
◆
「クレア、大変です!」
ケイトがすがりつくように相手を引き止める。
「ケイト……。どうしたの?」
クレアはゾンビ
「スコットが敵と戦っているんです。助けてください!」
「敵ってどんな?
「違います。姿を変えられる敵です」
他の魔導士と顔を見合わせてから、クレアは「
「そこを左です」
「スコットを放しなさい!」
スプーが壁に押しつけていた力を弱め、相手の体がわずかにずり落ちる。他の魔導士二人は、
「もう逃げられないわよ」
取り
「これが……」
「さて、どちらが君の
「あなたじゃないのは確かね」
バカげた質問だと思いながらも、クレアは敵の能力に
「
そう
さらに、スプーは複数の触手を振り回して
二人の魔導士が「待て!」と後を追う。
「スコットのことをお願い」
飛び起きたクレアは、そう言い残してスプーを追いかけた。
◆
スプーは
「遠くへは行っていないはず。
クレア達は
相手の首をしめ上げるのに成功したが、
スプーは捕まえていた相手に『
その
スプーは
スプーがうんざりした様子でため息をつく。その直後、ズシンズシンとゴーレムの
振り向くと、倒れていた魔導士にゴーレムが歩み寄っていた。ほくそ笑んだスプーがそちらを指さした。
「放っておいていいのか?」
「……こんな時にうっとうしい」
クレアの注意がそれたのを見て、スプーは
「こっちに来なさい!」
クレアはほどよい距離をたもちながら
そうこうしていると、
その時、ゴーレムの向こう側に、
ほどなく、視界に飛び込んできたのはウォルターだった。何が起きたのかわからず、クレアは開いた口がふさがらなかった。
相手は
「ウォルター、大丈夫?」
ウォルターは大きく肩で息をし、
しばらくして、「大丈夫」と
クレアはゴーレムの成れの
「岩の巨人は僕がどうにかする。ゾンビのことは
今にも
◆
スコットはもだえ苦しんでいた。〈闇の力〉によって
「ごめんなさい……、ごめんなさい、スコット。私が城で大人しくしてれば、こんなことにならなかったかもしれないのに……」
ケイトは相手の背中をさすり続けた。安全で
また、のたうち回るスコットをどこかへ運ぶ力はなく、ケイト自身も、ショックのあまりに腰がぬけてしまっていた。
「くやしい。目の前の人さえ助けられない。私に力があれば……、私が
ケイトの
「バカ野郎」
ゲホゲホとせき込みながら、スコットが
「何を
スコットは息もたえだえに、力なくほほえんだ。
体重を腕の力で支えられなくなり、スコットはくずれ落ちそうになったが、すんでのところで、ケイトがだき止めた。
「スコット! スコット!」
呼びかけに答えはない。
助けたい。彼女はただ
〈
〈闇の力〉はこの国における使用が、『
『
涙でかすんだケイトの視界が、聖なる白い光で満たされていく。
「……あれ?」
ふいに声を上げたスコットが、ムクッと体を起こす。体内を
「全く痛くなくなった」
「……えっ? どういうことですか?」
スコットがケロッとした表情で腕を回し始める。ケイトはグシャグシャになった泣き顔のまま、しばらくポカンと相手と見つめ合った。
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