不運な出会い
◆
ウォルターが去ってから、パトリックは意味もなく『
ふと
「どうしました?
「ああ……。まるで、夢から
いったい、自分は今まで何を――。ためらいなく行ってきた
かねてから望んでいたことだけに、彼は
『転覆の魔法』が解けたことで
「やはり、何らかの能力をかけられていたようですね。あの日、〈
「わからない……。あの日、多くの
最初におかしくなった仲間ダレル・クーパー――彼の体を乗っ取ったスプーと、
戦闘は彼が
気づいた時には、仲間の姿が見えなくなっていた。そして、変わり
(俺がダレルをやれていれば、こんなことにならなかったかもしれない)
「結局、誰一人見つけられず、立ち上がる
「そして――生きたいと願った」
当然、その後のやり取りも記憶にないが、その
その時、階段のほうから
相手が誰かわからなかったパトリックと違って、スージーは「ダイアン」とすぐに気づいた。
「あっ、巫女。彼は……」
ダイアンは
相手は驚きの行動に出た。あわてて
『転覆』前の
「申しわけありません。俺はとんでもない
「ライオネル」
「……はい」
「顔を上げて」
ダイアンが相手の目をまっすぐ見つめ、心を読んだ。そこから聞こえたのは
「もう大丈夫ね」
ダイアンは優しく、さとすように言った。
「……はい」
今までの行為にも
(ダイアンが巫女……)
パトリックは
(今なら、巫女の息の根を止められる)
さながらゾンビのように、
足音をしのばせ、息を殺しながら近づく。近くで様子をうかがっていたルーが、
「おっと、チビ助。お
その言葉でパトリックは我に返る。しかし、自分が何をしようとしていたのかさえ、すぐにわからなくなった。
◆
ケイトをさがしに
「スコット、こっちです」
その家へ入ると、ケイトがドタバタと二階から下りてきた。
「危ないじゃないですか。
「いやいや、お前が一人でうろついていたから、さがしに来たんだよ」
スコットがあきれた様子で
「ケイトこそ、何でこんなところにいるんだよ。確か、昨日は城に残るような話をしていたよな?」
「それには深い事情がありまして……」
しばらく彼女は口ごもっていたが、戦闘へ参加せずに
それを聞き終えると、スコットはため息をついた。ただ、結果的に
「しょうがない。うちのチームに加わるか?」
「いいんですか?」
「今さら、城に帰すわけにもいかないしな。だけど、
「やっぱり、
「待て待て……。いや、うちのチームでなくてもいいか。どちらにせよ、こんなところに一人でいるのは危険だ。どこかの部隊と
◆
城壁塔から
レイヴンズヒルまで来た『
すでに、この『器』は顔がわれている。能力が通じないウォルターやパトリックからは、
スプーら『エーテルの
しかし、何も食べないでいると、
スプーは
敵の目をごまかすため、
スプーは民家を出て路地へ出た。その時、
スプーは
「どこへ行く?」
「今から城へ戻るところだ」
「
スプーは言葉につまった。現在、『
「
「伝令だって、
大門
「腕章……。どこかで落としてしまったようだな」
「だったら、部隊名と腕章の色を答えてもらおうか。落としただけなら、わかるだろ?」
「……君達も腕章をつけていないようだが?」
「俺達は特別な任務を与えられていてな。あいにく、どこの部隊にも所属していないんだ」
「
「お前みたいなやつを、さがす任務だよ」
「わかった。認めようじゃないか。おそらく、私は君達がさがしている男だ」
「ムダな血を流したくない。
「見逃すわけにはいかないな」
チーフのかたきを討つと決めたスコットは、
「ならば、言いかえよう。――
たった今起こった『転覆』によって、これまでは〈樹海〉の
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