ダイアンの決意
◆
近くで
「私は
パトリックもムキになっていたため、スージーが心配そうに「ウォルター」と相手の腕に手をかける。
「ウォルターにも
はき
ウォルターが相手の
「私を
それだけの
ウォルターの腕にいっそう力がこめられ、パトリックが
「やめてください。ウォルター、やめてください」
外から、
「絶対に認めません。
やり場のない思いを持てあまし、ウォルターは
(ちくしょう……、ちくしょう!)
胸の内ではき捨てながら、
ゾンビは目についた人を、手当たり
「あそこのゾンビをどうにかしてください」
「宮殿の中にはもっといるんです」
近くに他の
「どいてください!」
(彼らを
ゾンビが起き上がる
(
巫女の
◆
ゾンビから
「外に出してくれ! ゾンビがそこまで来ているんだ!」
「ダメだ! 門は開けられない! 建物に引き返せ!」
「建物はゾンビだらけなんだよ!」
「だったら、ゾンビを早くどうにかしてくれ!」
その時、一体のゾンビが群衆の中へ突っ込んでいき、人だかりがたちまち
「ありがとうございます」
近寄ってきた守衛が感謝の言葉をのべた。
「今はどんな状況ですか?」
「ご
「何か、他におかしなことは起きてませんか?」
「ああ、今は落ち着いていますが、さっきまで
この
振り返ると、ダイアンが立っていた。ウォルターが
「ダイアン、ごめん……。守れなかった、守れなかったんだ……」
ダイアンがゆっくりとウォルターに歩み寄る。相手は今にも泣き出しそうな表情。彼女もとっさに顔をふせた。かける言葉は口をついて出ず、手をにぎってあげることしかできなかった。
「
城壁の上にいた守衛が大声で言った。
「今のを聞いただろ。外は岩の巨人だらけだ。まだソンビのほうがマシだ」
守衛がおどすように言うと、群衆は
「俺達もいずれゾンビになるんじゃ……」
「行かなきゃ……。助けに行かなきゃ」
最後まで、ダイアンは顔を上げられなかった。なぐさめの言葉をかけなければ、という思いはあっても、相手の顔を見れば、心をかき
彼女には能力が一つある。名前は
それが自身の行為とわかっていても、この能力を残した
特に、『最初の五人』が深く
始め、ウォルターに能力は通じなかったが、
けれど、心を読めるのは
『巫女』と呼ばれていた時代は、
彼女は身を隠し続けた。確実なことは言えないが、それが自分で自分に
また、力を
「私も――戦わないと」
自身を勇気づけるようにつぶやく。ダイアンは
◆
ダイアンは危険を承知で荷物の置いてある東棟の
建物内の住人はあらかた
避難生活の
彼らの
部屋を後にしたダイアンは、東棟を出てから、
布でくるんだだけの
十数年間、ただの一度もそでを通すことのなかったドレスと、
あと一つは、
ダイアンは意を決してドレスへ着替えた。自身が巫女であると証明するには、これしか思い当たらなかった。
ちょうど彼女が着替え終わった時、
「お
「だいたいわかるでしょ」
「まさか、
「そのまさかよ」
「どういう風の吹き回しだ? 十数年間、あのせま
「わかってる。でも、ウォルターが戦っているのよ。ウォルターだけじゃない。みんな戦っているの。私だけ、いつまでも隠れ続けているわけにいかないじゃない」
ルーがわざとらしくため息をついた。
「いつから、そんな
ダイアンにとって、それだけが
「あの
ルーの言うそれがどういった意味合いか、ダイアンは理解している。
ウォルターの身に
「でも、
「わかった、わかった。じゃあ、俺が一緒に行ってやるから、勝手にどこかへ行かないようにな」
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