転覆の時
◆
ウォルターとトランスポーターは、始めレイヴン城の
まばたきさえ許さない、
ウォルターは意識的に『風』の
通常、
しかし、もはや
にえたぎるマグマのような『
(
ウォルターは足を止めることなく、がむしゃらに敵を
彼はウォルターと
怒りに顔をゆがませるウォルターの様子は
トランスポーターの
『ウォルター? スージーです』
『……何?』
『
取り込んだ状況でも、
『どんな状況なの? 今は一緒にいるの?』
『今、一緒に階段をのぼっています』
『わかった。今から、そっちに行くと伝えて』
ウォルターがトランスポーターににらみをきかせる。相手は
「何か、あったみたいだね」
相手の問いかけに何も答えず、ウォルターは
◆
ウォルターは〈止り木〉の
数百段もある階段をのぼり切り、鎮座の間の前に
「ウォルター、こっちです」
部屋の中へ
パトリックは
ウォルターの到着に気づいたパトリックが、ゆっくりと歩み寄ってくる。
部屋へ足を
「お前が
ウォルターが
「……誰ですか?」
「
振り向くも、
相手が中央広場事件を起こした犯人と知っていても、敵の
「これが何度かお話した『
ウォルターは宝珠を見上げながら、「はあ……」と気のない返事をした。
「見たことありませんか?」
「……ありませんよ」
「それより、
「ウォルターに、この国にかけられた『転覆の魔法』を
「えっ? ……何のためにですか?」
「
「
「まあ、そうなるでしょうか」
パトリックは
「もっと、ちゃんと説明してください」
ウォルターの
「あそこの
ウォルターが
「それは学長の
「どちらとも言えます」
「……そんなことできません。たとえ自分にできたとしても引き受けられません」
「理由を聞かせていただけますか?」
「それによって起こりうる結果に
「『転覆の魔法』を解ければ、戦闘は
「
ウォルターが
「彼をあなどらないでください。ジェネラルがなすすべもなく
その
「ウォルター、
敵の目的は我々の
「……無理です。問題が大きすぎます。それに、巫女がこの国に『転覆の魔法』をかけたのは、
そもそも、何で僕にできると思ったんですか。
「一時的でもかまいません」
「そのことに何の意味があるんですか」
「実は、昨日コートニーをここへ連れて来て、『
『転覆の魔法』の効果を
しばらく、ためらった後、パトリックが重い口を開く。
「最後の一つ――それは、巫女が『転覆の魔法』を解除する
話の
「僕ってことですか?」
「はい。トリックスターという名が記されていました。巫女は解除権限をあなたへたくしていたのです」
「ありえません。僕は最近この世界へ来たばかりです。巫女にだって会ったことない。それに、コートニーからそんな話を一度も聞かされていません」
「私が
どうしてそんなことをするのか。ウォルターは
「私も始めは信じられませんでした。ですから、あなたの言葉が真実であると証明するためにも、今から〈
「わかりました。ただ、
「
相手を納得させるだけの
「もしあなたが、この国にかけられた『転覆の魔法』の解除権限を持っていたら、それを
「……望むところです」
自分に記憶を
そんな意思とは
ウォルターが
「そんな……、どうして……」
やがて、
ウォルターが
しかし、
こう思わずにはいられなかった。大地の『転覆』が始まった――と。
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