巫女への執着
◆
「
「
「
ウォルターにとって『
とはいえ、この国の人間は巫女の記憶を失っているが、それでもなお、大切に思う気持ち、敬う気持ちをひしひしと感じていた。巫女は
「だったら、それは僕がやろう。君は『マリシャス』の相手をしてくれればいい」
「巫女の抹殺をたくらむ連中とは、手を組めないと言っているんだ」
「……『最初の五人』であるはずの君が、そこまで、『あの女』の肩を持つ意味がわからないな。ヒプノティストもそうなのかい?」
「そうだ」
残りの二人――ローメーカーとエクスチェンジャーも、『
「お前の目的は何だ。どうして『誓約』を
「――僕らが『最初の五人』と呼ばれていた時の記憶」
「……記憶?」
「君も知りたくないかい? 僕らが『誓約』を
情にうったえる作戦が心を動かす。ウォルターは
積もりに積もったモヤモヤを解消できるチャンスに思えた。この時間が
「ある意味、僕と君は今日初めて出会った。でも、僕はそんな気がしない」
ウォルターは言葉につまった。
トランスポーターは
ウォルターは巫女の抹殺など、
「お前らが巫女の命をねらう理由は何だ」
「――言葉では説明しづらいし、深く考えたこともない。
トランスポーターも
(そんなふざけた
ウォルターが怒りをあらわにする。いかなる理由があっても、この男とは
「もちろん、タダでとは言わない。君が怒っている理由もわかる。僕はこの国に攻め込んだ敵だからね。だから、交換条件があるんだ」
トランスポーターが
「あのゴーレムをあやつっている男、確か、ネクロとか
「なっ……!?」
思いがけない
「……お前の仲間じゃないのか」
「それは
「どっちにしろダメだ。巫女の命をねらっていることに変わりない」
「ずいぶんこだわるけど、君は『あの女』に会ったことあるのかい?」
ウォルターが口をつぐむ。会えていないことに歯がゆさを感じていた。
「その様子だと会ったことないのか。まあ、隠れているのだから
「――どっちも守る」
子供っぽい
「まあ、そういうのは嫌いじゃない。ますます、記憶を取り戻したくなったよ。ただ、そっちがその気なら、こっちも
◆
戦闘を
彼は戦闘が
「話が通じる男と
「この能力は〈
トランスポーターが
(まずは、これで能力の
火かき棒を軽く投げつけるように操作する。それが回転しながら、ウォルター目がけて飛んで行く。どの程度の距離で操作不能になるか。それで有効範囲を見きわめるつもりだった。
しかし、ウォルターは
トランスポーターは
「それが
火かき棒はどこかへ飛んで行ってしまったが、能力を使えたことから、先ほどの位置関係が有効範囲外であるのは確認できた。
(十メートルもあれば、
ウォルターは休む暇を
相手を発見するやいなや
けれど、敵はそこに現れず、ほどなく、
「こっちだよ」
トランスポーターは先ほどまでいた
しかし、事前登録した座標への移動は、凝視の
ただし、
「さっきもそこへ移動しただろ」
「そうだったかい?」
トランスポーターはとぼけた様子で答えた。相手の接近を許したが最後。
ウォルターにしても、有効範囲内におさめて、能力無効化を
トランスポーターは相手の目を
「そっちは逃げ回るだけか」
「
ウォルターが手をこまねいていると、
まだ一体を取り逃がしただけでは――ウォルターの
「どうやら、
満足げに言った相手を、ウォルターがキッとにらみつける。
「あのゴーレム、僕なら止められるよ? それでもなお、君は『あの女』の盾を気取り続けるのかい? 国の
「何度も言わせるな! お前とは手を組まない!」
トランスポーターはうんざりしたように肩をすくめた。
「さっきも言ったように、僕の目的は君の足止めだ。結局のところ、逃げることしかしない。だから、仲間のところへ
ウォルターの表情が
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