伝承の矛盾
◆
時をさかのぼって、
能力者がいる敵の
ウォルターはゴーレムとの戦闘に
けれど、吹き飛ばされるのは自身も同じ。能力の
ウォルターは仲間を信頼し、能力者の
しかし、敵は姿を現さない。すでに、五体のゴーレムがしとめられた。味方は敵を
ゴーレムはおとりに過ぎず、敵は
ウォルターはレイヴン城へ向かった。今度は
『スージー。ウォルターだけど、まだ敵は見つかっていない』
『わかりました』
『コートニーから
『変わりなしという連絡なら、さっきありました』
『レイヴン城のほうはどう?』
『この部屋から見える範囲は平和そのものです。あと、
スージーはパトリックに
念のため、ウォルターは自分の足で確認した。しかし、
(何かあれば、スージーから連絡があるか)
結局、ウォルターは大門
中央地区の
ふとウォルターは足を止め、はるか遠くまで
しかも、
男は落ち着いた
屋根から下りたウォルターは、
男のほうはしばらく二人組に
ウォルターは路地から歩み出て男に近づいた。そして、存在に気づいていないフリをしながら、すれ
同年代で
すると、大通りから男の姿が
「僕の姿が見えているってことは、君がトリックスターかい?」
そばの建物をあおぎ見ると、男が
「ヒプノティストじゃないだろ? 彼は身長がかなり低いと聞いているし」
「お前が敵の能力者か」
「そうだ。エドワードという名前もあるけど、君らにはトランスポーターと
「お前が……」
ウォルターがとなりの建物の屋根へ飛び乗り、ただちに
「そう、あせらないでくれ。僕は君と戦いに来たわけじゃない」
ウォルターはその言葉をあやしんだが、確かに、相手から
「敵としてではなく、君と手を
ウォルターがかまえていた右手を下ろし、話を聞く
◆
「まずは、
「ああ」
ただ、知ってはいるが、敵から聞かされた話を認めたくない気持ちが強い。
「僕らはそれにより、『誓約』のメンバーに関する記憶を残らず失い、お
ウォルターに記憶を失った感覚は一切ない。しかし、声を
「
まあ、『あの女』の
その話は
「ちなみに、『あの女』はまだ生きているよ。ローメーカーの
ただし、『誓約』の
(だから、どこにいるかもわからない巫女を、しつこく探し続けているのか)
「伝承に残された『誓約』の話には
(いわゆる『最初の五人』は、パトリックしか会ったことがない。確かに、関係なさそうな『
「二つ目は少し
例をあげよう。僕らは仲間内で『
『盟約のメンバーを手にかけた者は死ぬ』。
二つ目の条項は
「さっきの『誓約』の話を思い出してほしい。『転覆の巫女』はほぼ全ての能力を失ったとある。だけど、僕ら『最初の五人』は誰も能力を失っていない。これは
「……伝承
言わんとすることはわかっても、伝承を
「その
もし『転覆の巫女』が『誓約』で能力を失ったのなら、同じく能力を失った
また話が戻るよ。解除への同意、あるいは
トランスポーターはもったいぶるように、ひと
「名前は『マリシャス』。伝承に名前のないそいつが、いつの間にか、僕らの『誓約』にちゃっかり
ただでさえ頭が
「ここからは僕の
なぜ『マリシャス』の名前が伝承にないのか。
「それで、何が言いたいんだ」
「それなら、
それは『転覆の巫女』と『マリシャス』というはかり知れない二つの存在だ。仮に『誓約』を解除すれば、能力を失った
トランスポーターが
「つまり、それを成しとげるために君の手を借りたい。さらに
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