転覆の日
トランスポーター
◆(三人称)
トランスポーターは〈
ひとり
彼が〈
また、この国へ行くだけならともかく、〈外の世界〉へ戻るには、約束の
そんな、自身の
(向こうとあまり変わらないな)
彼にはエドワードという名前もあったが、その名で呼ぶのは『最初の五人』であるローメーカーとエクスチェンジャーの二人のみ。その二人も
年齢はウォルターとほぼ変わらない。軽く目にかかった髪に、
この性格が原因で、ローメーカーとは
◆
ローメーカーの性格を一言で言い表すならば
『友としての
『お前の気持ちはわかった。ただ、もうドワーフ達と約束したんだ』
『手を貸してもいい。ただ、その場合、ここでお別れだ。君に協力するのは最後になるけど、それでもかまわないか?』
『……ああ。残念だけど
(彼と一緒にいると
そう思ったトランスポーターは、ローメーカーとたもとを分かち、〈転覆の国〉へ〈侵入者〉を送り続ける活動を一人で始めることになる。
エクスチェンジャー――〈
◆
「どうだ、トランスポーター。この国の印象は?」
かたわらのインビジブル――
「普通だね。そっちは?
「この国の
彼らがいるのは〈
トランスポーターは
(これが
「こいつらは僕達を
「
「活動できる時間に
「はい。ジッとしていれば別ですが、我々がエサを
「そんなに短いのか」
「なので、ここからレイヴンズヒルまで丸二日は
生物でないゴーレムは〈
そっぽを向いたトランスポーターはあきれながら鼻で笑った。そんなものが作戦の
「では、作戦と
「俺がジェネラルとやって、『
「その間、僕はトリックスターの相手をしよう」
「わかりました。我々はお二方のご
「そっちにも仲間が一人いると聞いているが、今はどこにいるんだ?」
スプーはこの場に来ていない。さらに言えば、彼らの前に一度も姿をさらしていない。彼らと協力関係を結ぶ
『
「彼は
「どんな男なんだ? 名前すら聞いていないぞ」
「彼には『
「つまり、その何をしてくれているかもわからない男に、僕らは陰ながら感謝しなければならないわけか」
トゲトゲしく言ったトランスポートが、反応を確かめるためネクロを
(気に食わない男だ)
ほのかな
実際、トランスポーターはネクロに
「確か、もう一人いらっしゃるという話ではなかったですか? ほら、女性の」
「サイコは
「それは心配ですね」
「向こうに直接行ったのかもな」
トランスポーターが
こんな作戦に
◆
その一番の理由がこれだ。かつての彼は、〈侵入者〉に対して
食料は
彼は〈侵入者〉へ
そして、〈侵入者〉からの「
やがて、ルールは彼のポリシーとなる。『盟約』に加わる際は、ローメーカーにルールの
だからこそ、彼は今回の作戦に猛反対した。ドワーフの反乱という国家
作戦に深く足を突っ込む気はさらさらない。トランスポーターは失敗を
◆
「君は、何年か前に会った時とずいぶんが印象が変わったな」
「そうですか? まあ、数年もすれば人は大きく変わるものですよ」
ネクロはその時も顔を隠していたが、当然、『器』は
「それより、トリックスターの相手はお一人で大丈夫ですか?」
「大丈夫さ。僕は『最初の五人』だから、彼の能力は通じない」
「それは
トランスポーターはそっぽを向いて、
トリックスター――ウォルターが出現した情報は、出発の数日前にサイコの部下からもたらされた。
なぜか、胸が
(どんな人だろうか。何だか、彼とは気が合いそうな気がする)
(『転覆の巫女』を追いつめたという彼の協力があれば、あの計画を実現できる。僕達五人がもう一度一つになれる日が来るかもしれない)
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