ゴーレムの襲撃(後)
◆(三人称)
スプーとネクロはストロングホールドに来ていた。街の人間に『
ネクロが
五年前の〈
さらに、彼らが〈
〈泥人形〉は
とはいえ、ジェネラルの攻撃をはねのけ、ここまでの戦いぶりは満足のいくものだった。シビアな評価をくだしがちなスプーも、つい
◆
ジェネラルら
「ネイサン、五年前に
「
「あれを
「おとなしくしてくれたら、できないことはないんだけどな」
「氷づけにするのはどうですか?」
「破壊する時に、氷をとかさないといけないだろ」
ネイサンが
「『火』と『雷』は通じない。
そう言ったジェネラルが
その目と鼻の先をゴーレムが通りかかる。ハラハラと
「ん、馬はねらわないのか」
「人間が大好きなんでしょうね」
スコットが何かをひらめいたように「あっ……、だったら水はどうですか?」と言った。
「
「いや、その『水』じゃなくて。あいつ絶対に水に
ジェネラルが「ああ、そうか」とハッとした様子を見せた。
「川に流すってことか?」
「この辺りの川は、あいつが沈むほど深さがないぞ」
「でも、ここから海まで連れて行くのは気が遠くなりますね」
「
メンバーの一人の意見にジェネラルが大きくうなずく。他のメンバーも「そうだな」と
「底のほうは
「あとは、どうやってあいつをそこまで連れていくかですね」
「氷づけにするなり、何とか
「それで行こう。足止め役の魔導士と馬を、できるだけかき集めるぞ」
ジェネラルの
「今はあの
◆
通りに渡したロープをピンと張ったまま待ちかまえる。攻撃を受けるとムキになる
ゴーレムは他の物が目に入らないといった様子で、がむしゃらに
ジェネラルら攻撃陣が
だが、ゴーレムは
「なんて
「手の
「馬のほうを連れて来れないか!」
八頭の馬をまとめてバックさせるのに
「
うなずいた二人が
喜んだのもつかの間、ゴーレムはあり
その直後、ゴーレムの右腕が振りぬかれ、ジェネラルの
それにより、多くの時間をかせぐことに成功した。ようやく馬達とゴーレムがロープでつながれた。
馬の力は人間の数倍。
◆
馬達が中央庁舎の
門の一部分にロープが引っかかり、それがストッパーとなって、ゴーレムの動きが止まった。ネイサンが「俺に
「はずしたぞ! 早く引け!」
それに成功し、ネイサンが
「チーフ!」
助けに入るべくスコットが足をふみ出す。しかし、
ゴーレムの腕がネイサンの胸から腰にかけて振り下ろされる。ゾッとするような
ゴーレムが再び引きずられ始める。地面にへばりついて立ち上がろうとしたが、すかさず反応したジェネラルが、それを『氷柱』で
スコットがネイサンの救助へ向かう。
それを見届けたジェネラルは、急いで門のほうへ戻った。
「ネイサン……」
ジェネラルは立ちつくしたまま言葉を失った。
顔のほうは強打の傷があった程度だが、左
「
ネイサンが力なく笑う。うつらうつらと、今にも意識を失いそうだったが、何かに気づいた様子を見せると、右手の中指にはめていた
「ほら、これはお前が使え」
ネイサンの指先から氷の指輪がこぼれ落ちる。
「嫌ですよ……。『風』と『氷』なんて
「くだらないことにこだわってんじゃねえよ。お前、才能あるんだからさ。そんなことしていると、いずれ、俺みたいになるぞ」
スコットは何も答えることなく、
「これで、あれをあやつっていたクソッタレの、鼻を明かしてくれ」
ふとネイサンが空を見上げる。すみ渡ったそこに向かって、もう一度同じ言葉をくり返す。
「くだらないことにこだわってんじゃねえよ」
当然、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます