エクスチェンジ
◇
そこは食堂だった。
ロウソクのかすかな光を
女を指さしながらクレアに視線を向けると、首を横に振った。〈
クレアに
「あら、いらっしゃい」
女は
「どこにいるの!?」
「向こうへ逃げた!」
◇
女が逃げ込んだ先は
「敵よ! 逃げなさい!」
男はデリック・ソーンだった。飛び上がらんばかりに驚き、
大階段の
それを確かめるため、パトリックに協力してもらい実験をした。魔法無効化を
現在、女はことごとく能力を
「本当の能力の使い方を知ってしまったのね」
「知っていたのか」
「ええ、もちろん。パーティの日に逃げたのもそれが理由。だって、そんな
またその話か。なぜか、その話をされるとムカムカする。
女はどこからともなくナイフを取り出した。まるで
「ヒプノティストが来たとは聞いたけど、あなたまで来てるとは知らなかったわ。まあ、あの子があなたのことを知らなかったんだろうけどね」
あの子が誰なのかはわからないけど、やっぱり、
「私は能力を使えない。でも、それはあなたも同じよ。これからどうする? ナイフで切りあいっこでもする?」
そんなことは
〈
「うるさいわね。今、取り込んでいるのよ」
女が
しまった――とあわてて振り向くも誰もいなかった。
とっさに前を向き直ると、女がナイフをかざして
女は飛んだ。
「空を飛べるのはあなただけの
このままだと有効範囲から
◇
大広間から廊下へ入った。すぐまがり角だったので、もう女の姿が見えない。角をまがった先の戸口から、
とっさに床をころがって
女が窓から外へ飛び出す。そして、
それから、
そこに倒れていたのは女だった。
おそらく、
女は死んだ。あっけない
◆(三人称)
女――サイコは遠く
能力の名は〈
サイコの『魂』が入った体はマイケルという国側の一兵士のもの。
マイケルはその
そのカラクリはこうだ。マイケルは
元の体に戻った後、サイコは屋敷の兵士を記録した座標へと送った。伏兵を
これが国側を
また、この戦法はサイコが〈
サイコの
崖下に横たわるサイコの体は、もはや動かせる状態にない。それに驚いたマイケルは『交換』要求を送り続けたが、サイコは
「うるさい男ね。『
「さてと。かわいそうだけど、デリックのことは
サイコもスプーやネクロと同じ『エーテルの
現在、サイコがいるのは国側が
しかし、
ふと、サイコがある戸口で足を止めた。部屋の中にいたのはパトリック。『最初の五人』たるヒプノティストだと、すぐに気づいた。
ウォルター、パトリックをのぞいた残りの三人とは、基本的に友好的な関係をきずいている。ただ、
サイコは
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