パトリックと辺境伯
◆(三人称)
昨日、
彼の言うプレゼントとは何か。自分もチェンバレン
◆
「お前が
「はい。その名を
パトリックはアカデミー
「
「何でしょうか」
「俺は〈外の世界〉へ生きたい。お前の
「はあ……。
パトリックが
「
「パトリックです」
「パトリックか……。何か、セドリックと
「かまいません」
セドリックはジェネラルの名だ。この頃の
その後、
パトリックは
◆
しかし、パトリックとの
「昨日の
「遠慮なく言わせてもらいますと、上を
「そういうのじゃなくて、
「
「もっともな話だが、それは負け
「〈外の世界〉へ行くなら、あまり試合という
「……うん、そうか。そうだな、目の覚めるような大発見だな!」
その日から、
◆
まだ中央広場には
「約束通り、一人で来たみたいだな」
「はい」
「やっぱり、俺が見えているのか。昔からただ者じゃないと思っていたが」
「
表情をやわらげた
「ちゃんと生きているよ。ただ、まわりの人間は俺の姿が見えていない。だからこそ、俺はこうして
「いつからそんな
「ひょんなところで、新しい能力を手に入れた。名前は〈
〈
「それは、あの日の〈
「たぶんな。実はよく覚えていないんだ。能力を手に入れたことは知っていても、どうやって手に入れたかは覚えていない」
「あそこで何が起こったんですか?」
「まずは、おかしくなったダレルとやり合った。そして、説得に失敗した上に、
怒りをにじませた
「それから〈樹海〉をさまよい歩いた。その先は覚えていない。気づいた時にはレイヴンズヒルに来ていた」
自身の〈
「その姿を消す能力で三名の議員を殺害したんですか?」
「ストレートに聞くな。俺が
「――そうだ。三人とも俺が殺した」
「どうしてですか。
ふとそっぽを向いた
「わからない。怒りは当然あった。でも、最初から殺すつもりだったわけじゃない。レイヴンズヒルへ来た理由すら、俺自身よくわかっていないからな」
「お前も殺そうと思った」
親友から発せられた言葉にショックを隠せない。それは恐怖にすら打ち勝った。よそよそしい冷たい
「お前も知っていたんだよな?」
「はい、数カ月前に
「その間、お前は何をした?」
「
当然、意見を求められれば
「お前らが鳥かごでの生活にしがみついたがために、仲間達は
その気持ちはお前も一緒だったはずだろ。そうすれば、仲間達は死なずにすんだ。少なくとも、希望や未来のために死ぬことができた」
「おっしゃる通りです。返す言葉もありません」
しばらく沈黙が続いた。パトリックは『お前』と呼び続けられることに
「ほら、約束のプレゼントだ」
「もう俺には必要のないものだ」
パトリックが受け取ると、
「リトル、これから俺は〈外の世界〉へ行く」
「……どうやって行くんですか?」
「さあな。でも、行ける気がする。いや、もう行けると決まっているんだ。お前も俺の後を追って来い。この国をひっくり返す方法を見つけてな。今度、俺がここへ来た時、まだそれを見つけられていなかったら、
◆
「話は以上です。彼は
「姿を消す能力か……」
議員の一人がそうつぶやいたきり、さしたる
話を聞き終えたウォルターはあることが気になった。能力を得たかわりに命令を行わされた
それに加え、ベレスフォード卿の屋敷で遭遇した例の女が、姿が見えなくなる能力を使用していたことにも。ただ、この場で口に出せる話ではない。
パトリックは別のことで
それを呼び覚ましたことで、
『もう一つ置きみやげがある。トリックスターというやつをさがせ。この国にかかった魔法を解くカギは、そいつの手ににぎられている』
当時は意味のわからなかった発言が、
さらに、それにコートニーの〈
パトリックの目はジェネラルが指にはめる『
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます