さまよい続けた果てに
◆(三人称)
ネイサンは体力の
急いで斜面を下りたネイサンは「ルイス」とかけ寄ったが、相手の「誰だ!」という
投げ出された片足は
「俺だ。どうした、ケガをしているじゃないか」
「それ以上、近づくな!」
ルイスがおびえながら右手を突き出し、その先にかすかな
「何言っているんだ。お前、一人なのか? みんなはどうした?」
「……知らない」
「それは〈
「違う。〈泥人形〉はとっくの昔に全部片づけた」
「だったら、その傷は誰にやられたんだ。他のみんなはどこに行った」
ルイスが
「……
「わかった。話は後で聞こう。とにかく
ルイスが「必要ない!」とネイサンの
「……一体どうしたんだ」
「信用できない。お前、本当にネイサンなのか?」
「何をバカなことを。俺はネイサンだ。見ればわかるだろ?」
「この傷を負わせたやつも、そう言っていたぞ」
明らかにルイスは
「それなら、何があったのか、話を聞かせてくれないか」
しばらく言いよどんだルイスが、声をしぼり出すように話し始めた。
「最初におかしくなったのはダレルだ。あいつがサムをやりやがったんだ」
「……ダレルがサムを?」
「ああ。サムが『
ネイサンには
「
「わからない。ダレルとやり合っているのを見たと言っていたやつがいたが、俺は見ていない」
ふいにルイスが
「その傷もダレルにやられたのか?」
「違う……。この傷はサムにやられた。あいつがいきなり
「サムが……? ちょっと待ってくれ。サムはダレルにやられたんじゃなかったのか?」
「そうだ。サムはダレルにやられたはずだった。それなのに……、あいつは死んだはずなのに、
ネイサンはあることが気になり、ルイスの傷口に目を向けた。『火』によるヤケドはなく、それは明らかに
「ナイフか何かで
「いや、『氷柱』でやられた。ネイサンは〈
「それはわかるが、サムは〈
「そうだ……、そうだよな。俺もおかしくなったみたいだ。あれはサムじゃなかったのかもしれない。もう誰が誰かもわからなくなった」
ガクッと肩を落としたルイスが、
「ネイサン、もうほっといてくれ」
手のつけようがなかった。たった一人でルイスを背負い、ウッドランドまで戻るのも現実的でないと考え直し、ネイサンは先に他の仲間を捜索することに決めた。
大量の〈泥人形〉がころがる原っぱを
しかし、
気づいた時には完全に日がしずんでいた。辺りはまさしく
もはや、立ち上がる
◆
ジェネラルなど
「〈樹海〉から生きて戻れたのはネイサンのみです。
お聞きの通り、
パトリックは
「しかし、
ウッドランドに
「それを
クレアが「ダレル・クーパーが犯人だったってこと?」と問いかけた。
「私はそう考えていません。
「だったら、〈侵入者〉はなぜダレル・クーパーの姿をしていたのかね?」
「よく思い出してください。もう一人の〈侵入者〉がトレイシー・ダベンポートの姿をしていたことを。ウォルターの
このことから、どちらかがもう一方をあやつっていたと考えるべきではありません。にわかには信じがたいですが、ここは彼らが
パトリックの
「私も
「私はダレル・クーパーを手にかけたのは、イェーツ卿の
「その男が他人に成りすます能力者で、
クレアがつぶやくように言った。議員の一人が
「それで、彼らの目的は何だったのかね?」
「その後の動きが五年間も
〈樹海〉の
ウォルターはネイサンに目を向けた。そこにあったのは見なれた
「そうか……。
ネイサンにとって何よりなぐさめとなったのは、かつての仲間にあらぬ
仲間の
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます