虹の能力者
◇
魔法で
ビンゴだ。さっき
予想通り、特定の場所以外は、戦闘中としては
すなわち、攻撃をたたみかければ、瞬間移動は
『風』で攻撃しても元の場所へ戻るだけ。直接的な
しかも、飛行途中にバックするという慣れないことをしたせいで、着地に大失敗。屋根の上を
「残念、
この余裕はどこからくるんだ。まだ
「だけど、次の移動地点はもう登録済みよ。さて、どこでしょうか」
「あまり時間がたってないから、少なくともこの屋敷の上だろ」
「大当たりよ。
おそらく、
とにかく、別の屋敷への移動は
できるだけ
女はわずかに瞳を動かす程度で、移動地点の予測は難しい。当てずっぽうで
「飛んでいる時だけ、火の魔法を使わないのは理由があるの?」
まだ女には、こちらの炎をかいくぐりながら、
ふいに女が
「ねえ、この腕を折っても魔法は使えるの?」
さらに、後ろ向きに倒れかかった自分の足首を女が取り、振り回すように屋根の外へほうり投げられた。とっさに重力を軽減し、空中に
「私、
女がおどけながら言った。
「逃げ回っているから、接近戦は
これも女の能力だろうか。人間のものとは思えない力だった。
「
七つだって……。瞬間移動、
「でも、そのうちの二つは戦闘で全く役立たないわ。ただ、あと一つはスゴい取っておきよ。きっと君も
「空に飛ばしたアレじゃないのか?」
「それは〈
女は
「素直に帰ると言っている私を、君はそれでも引き止める?」
うんともすんとも言えなくなった。本当に
女がいきなり両手を上げ、左右のまぶたを閉じた。
「もう
思いがけない
「これだけじゃ信用できない? だったらこうしましょ」
おもむろに
「両目をふさがせてもらう」
「かまわないわ。能力のことを洗いざらい話すから、やさしくしてね」
瞬間移動や遠隔操作のことを
手のほうはどうするか。怪力のことがあるから、
とはいえ、両手が自由のままだと、何のために目隠しをしたのかわからない。頭が回らない。やっていることが
「〈
聞いてもいないのに、女は自ら解説を始めた。心理戦の
「自身が移動できる限界距離は三百メートルよ。
「どうしてそんなにペラペラとしゃべるんだ?」
「言ったでしょ、服従の証だって。それに、〈
「……自分の能力じゃない?」
「あなたも知っているトランスポーターからの
本当に聞きたかったのはそこじゃないけど、能力を借りられるのか。それがこの女の能力だろうか。
「サービスしてもっと話してあげる。さっき言った、取っておきの能力の話なんだけど、名前は〈
人狼王……。人狼と言えば、この国とかつて敵対関係にあった
「どんな能力かというとね、ある地点を登録すれば、そこからの
「そういうことだから、三百メートル先で会いましょ」
その直後、女の姿が消えた。すぐには状況を理解できなかった。冷静になってから、目玉が飛び出るの意味と、
まんまとハメられた。相手を信用した時点で
あっ、そうだ……、ハンカチを持って行かれた。
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