侵入者の尖兵
◆(三人称)
ヒューゴと
「私は
「その証拠とやらは見せてもらえるか?」
「ああ。こんな事もあろうかと、大切に
それは口から
ヒューゴはデリックを会場に引きつける
デリック自身はこの国で生まれ育った
〈侵入者〉をトランスポーターの
この数年間、彼は〈侵入者〉の
ところが、〈外の世界〉において
殺害は
新たな計画のサポート役として
デリックが
その時、コンコンと壁を叩く音がした。音のした方向へ目を向けると、食堂の
後ろにいる男がターゲットだとアイコンタクトで伝えると、女はフッと姿を消した。ヒューゴを振り返った彼が、食堂を手でさし示しながら言った。
「今から取ってくるから、ここで待っていてくれないか?」
ヒューゴは中へ
「少し時間がかかるかもしれない。彼のことを頼むよ」
「
そう使用人に言い置き、デリックは
ヒューゴの殺害は
デリックは今の地位を失うことになるが、もう後には引けなかった。心に踏ん切りをつけたそれよりも、女の様子が気になった。
まるで人を殺すのを
◆
ヒューゴが
ほどなく、
しかし、十秒ほど後に同じ花びんが倒れ、テーブルの上をコロコロと転がり出した。あげくに床へ落ち、パリンと大きな音を立てて割れた。
使用人が「
その時、
気のせいだと考え、ヒューゴは先ほどと同じイスへ腰を下ろした。
「
ヒューゴは
「何か言ったか?」
まだ破片を集めていた使用人は、立ち上がって「はい?」と目を丸くした。
正体不明の声がナイフに
いつからあそこにあったかは
突然カタカタと
やがて、ナイフはピタリと
女の能力名は〈
現在、サイコは
その名の通り、〈
ヒューゴの
ヒューゴは
◇
スージーを会場まで送り届けた。すでにロイは戻ってきていた。パトリックが話を聞きたそうにこちらを見ていたけど、話が長くなりそうなので
女を探しに会場を飛び出す。あの女とデリックという男が
一部屋ごと立ち止まって、中へ
そこは食堂だった。戸口にたどり着くと、すぐさま
何かが
「気をつけろ! この部屋に何かいるぞ!」
ヒューゴの言う『何か』が女のことを言ってるかはわからない。どっちにしたって、自分はあの女に用がある。直接問いただしたほうが
「おや、また会えたわね」
女は目を
「よくあの状況から生きて帰って来れたわね。何をどうしたのかしら?」
よくもまあ、いけしゃあしゃあと。さっきのことがあるから、
「そっちに誰かいるのか?」
立ち上がったヒューゴがキョロキョロと視線を泳がせながら言った。どうやら、声は聞こえていても、女の姿は見えていないようだ。
戸口のほうへ、僕の
「その場に
ヒューゴの指示に従って、とっさに床へ身を伏せる。
「ウォルター、敵はどこだ!?」
「向こう側の隅っこにいる!」
僕が追いかけるしかない。かけ足で隣の部屋へ向かうと、そこは
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