幽霊パーティー3
◆(三人称)
時を
同じ場所にとどまるのは怪しまれると考え、人を待っている振りをしながら、
パーティー会場へ通じる入口が突き当たりに見え、そこには
しばらくして、ふいに視線と人の気配を背後から感じ、スージーは
ところが、若い女はまたたく間に
若い女は茶色いストレートのロングヘアーで、パーティードレスでなく、
スージーは若い女を
恐怖の感情をやわらげるため、勘違いと確かめるため、若い女が立っていた場所まで、彼女は勇気を出して向かった。すぐそばに部屋の
そこは使用人の
わずかな安心感を得て、スージーが廊下へ目を戻した瞬間、バタンと休憩室の中で大きな物音が上がる。驚きのあまり、彼女は「キャッ!」と飛びはね、窓側の壁まで後ずさった。
しばらくビクビクと立ちすくんだ後、物音の
けれど、彼女の身に降りかかった
「何をしているの? イタズラしちゃダメよ」
その後、足がすくんた彼女は、立ち上がることさえできなくなり、『交信』でウォルターに助けを呼んだ。
◇
『
『今どこにいる?』
『知らない部屋です』
『どんな部屋?』
『せまい部屋です。いろいろ物が置いてあります』
『廊下に出れない?』
『やってみますけど、足が震えちゃって……』
声を聞いただけで、ヒドくおびえているのがわかる。どれほどの怖い目にあったのだろう。急ぎ足で廊下を進んで、一部屋ごとチェックする。
サロンや食堂など、以前来たことのある部屋の前を通り過ぎ、その先の小さな部屋で、ようやくスージーの姿を発見した。
戸口から
「大丈夫?」
「怖かったです」
倒れ込むようにもたれかかってきたスージーを抱きとめる。体が
そういえば、『幽霊パーティー』が開かれているんだっけ。そう考えたら、自分も怖くなってきた。まあ、こうして彼女は無事だったわけだし、大したことないか。
恐怖をなだめようと部屋を見回すと――いた。女がいる。部屋の
女はまるでテレビでも見るかのように、
イスがジャンプしたのも、この女の
「おや?」
こちらの視線にやっと気づいた女が、
「何か言いました?」
そう言ったスージーが僕の
「大丈夫。見えているから幽霊じゃないよ」
女が立ち上がった。背が高く、ほっそりとしている。服装は使用人のものではない。腰まで伸びた髪をゆらしながら、落ち着いた
危険を
「屋敷の
「……私のことが見えるの?」
――どういうこと? やっぱり、幽霊ってこと……?
「また声が聞こえました」
スージーがかすかに震える手で、僕の脇腹をギュッとつかむ。
「見えちゃダメなんですか?」
鼻で笑った女が、
「君は空を飛びたいと思ったことある?」
「それはまあ……」
あらゆる言動が理解不能だ。どうしてこんなことを聞くんだ。もしかして、僕が空を飛べることを知っているんだろうか。
「今すぐ飛んでみたい?」
「……飛べるものなら」
◇
――空にいた。はるか
『ウォルター、どこですか?』
『今、空にいる。空を飛んでいる!
『置いてくなんてヒドいです! 空を飛んでいる場合じゃないです!』
『飛びたくて飛んでるわけじゃないよ!』
考えろ。どうしてこうなった。女の能力であることは間違いない。おそらく、あの意味不明なやり取りが
いやいや、これは
このスピードなら、あと二十秒とかからずに地面と
いつもは加速時と着地前のみ魔法を使用する。
少しずつスピードをゆるめていこう。暗すぎて地面との
それから、
ほぼ
とはいえ、無事地面に到着。
あの女は確実に殺しにきていた。僕でなければ、間違いなく死んでいた。やはり、相手は能力を持つ〈侵入者〉か。しかも、人の命を
そうだ、スージーを助けに行かないと。ひとまず『交信』で無事を確認する。あの女はもう部屋にいないそうだ。
中庭から本邸に戻り、戸口まで出てきていたスージーを
「あの女はどこへ行ったかわかる?」
「怖くて目をつむっていたからわかりません。でも、ウォルターがいなくなったすぐ後に、女の人の声が聞こえました。『ああ、うっかり殺しちゃった』って」
何がうっかりだ。本当に頭にきた。ついにその時がやってきた。全力で戦う時が――この〈
やり返さなければ気がおさまらなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます