幽霊パーティー2
しゃがみ込んで
「あの窓は外から開けられるか?」
「やってみます」
重力を
それは発見できなかったものの、開き戸が壁の外側にはみ出ていたので、上に手をかけられそうだ。重力を軽減させ、ふんわりとひとっ飛びした。
開き戸の上に右手をかけ、左手でカチャカチャと軽くゆらす。内側から
いったん地面に下りて作戦を
屋根裏部屋に通じていると思われる小さな窓がある。人間が何とか通れそうな大きさで、しかも、片方の
◇
『屋根裏部屋に
『
魔法でマッチ程度の火をおこして辺りを照らす。屋根裏部屋はほとんど使われていないようだ。忘れ去られたと思われるボロ
二階に通じる
念のため、重力を軽減してから、ソっと二階へ降り立つ。廊下は短く、
ゆっくりと扉を開ける。かすかにきしんだ音が立つ。窓が閉め切られているため、部屋は一歩先も見えない
デスクにベッドにテーブルと
「
ロイが部屋を見回しながら言った。物が少ないので
「これは何としても調べないといけませんね」
「きっと、調べてもらいたくて鍵をかけたんだろうな」
フタは
「
「カギを探してみましょうか」
まずは一番怪しいデスク周辺を探す。引き出しのようなものはない。怪しげな
あっという間に探す場所がなくなり、床に落ちていることを期待するしかなくなった。本当に何もない。もうすぐ引っ越しでもするのだろうか。
「もう箱ごと持ち帰るか?」
「できなくもないですけど」
ものは試しに、重力を軽減してから箱に手をかけると、
「君の能力は本当に便利だな」
でも、中身を確認したいだけだし、相手にバレないわけがない。そこまでしても持ち帰る価値はあるけど、大きさ的に窓から外へ運び出すのは
「〈
「
その時、ふいにスージーから『
『もしもし、ウォルター?』
『何かあった?』
『誰かがいたんです』
『……誰かがこっちに来た?』
『違います。廊下に誰かがいたんです』
『離れの廊下に?』
『違います。こっちの廊下です。ちょっと見てきますね』
頭にハテナマークが浮かんだ。わざわざ報告してくることとは思えない。とりあえず、ロイに言葉通り伝える。
「パーティーが開かれているんだから、廊下に誰かがいてもおかしくないだろ」
ただ、スージーが理由もなくそんなことを言うと思えない。とはいえ、ここまで来て様子を見に帰るわけにもいかないし、何かあれば、また連絡してくるだろう。
「箱の中身を確認して、さっさと戻りましょう」
ロイが南京錠をいじり出す。当たり前だけど、
手づまりだ。今回ばかりは、〈
「おっ、できた」
南京錠が
「さすがです。よく考えつきましたね」
「初めてこの能力が活躍してくれた気がする」
「何言っているんですか。
「あれは作ろうと思えば、人の手で作れるものだからな。他にはないだろ?」
「マジックの
「心からそう思ってるか?」
「……箱の中身を確認しましょう」
二人でフタの
いったん明かりを消したので、すぐには中身を確認できなかった。ただ、
フタを後ろの壁に立てかけて、魔法で明かりをともす。あらわとなった中身が目に飛び込むと、お互いに口をポカンと開けて顔を見合わせた。箱に入れられていたのは大量のマスケット銃だった。
そう、マスケット銃を用いるのは〈侵入者〉だ。これはそれとのつながりを
「やりましたね」
「ああ。もしかして……、乾燥パスタとか作らなくていい
「まあ、乾燥パスタは乾燥パスタでやりましょう」
でも、こんな大量の銃で何をするつもりだ。
「とりあえず、証拠として一つ持ち帰りましょう」
「銃は
ロイが『梱包』の作業に取りかかり始めた
『ウォルター! 助けてください!』
『……どうしたの?』
『私……、もう怖くて動けません』
『今、どこにいるの?』
『わかりません。屋敷のどこかです』
『それで、何があったの?』
『
『幽霊?』
『廊下に立っていたのに、突然フッて消えちゃったんです』
『うん……』
『気になって様子を見に行ったら、今度はポルターガイストです!』
『……ポルターガイスト?』
『はい、突然イスがジャンプしたんです! 私、もう怖くて動けなくなっちゃって。そうしたら、いきなり耳元で女の人の声が聞こえたんです。「何してるの?」って』
ただ
『幽霊です……、幽霊がパーティーしてます。幽霊パーティーが開かれてます!』
『とにかく、今すぐそっちへ戻るから。何かあったら、また連絡して』
「スージーは何だって?」
「幽霊パーティーが開かれているそうです」
「幽霊パーティー……?」
「幽霊とかポルターガイストとか、そういうのが
オカルトが
「心配なので急いで戻りましょう。『梱包』は外でもできますよね」
「元の場所に戻すことまでは考えてなかった」
詰めが甘かった。何十回と繰り返し、ピンポイントで『梱包』が解ければ、
「適当に荒らして、単なる
「そうですね。あと、もう窓から出ちゃいましょう」
侵入した
探す場所同様、荒らす場所も少なかったけど、小物入れを開けたり、イスを倒したり、一通り部屋を荒らしてから、急いで男の部屋を後にした。
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