幽霊パーティー
招待状
ある平日の
「例の男がレイヴンズヒルに戻ってきているらしい」
『例の男』とは、僕らが『水路のゾンビ』の死に深く関わっていると
「
「屋敷内の離れを拠点にですか。もはや、
「聞いた話では、ベレスフォード卿の娘と
完全に身内だ。
「あと、ベレスフォード卿が
「聞いていません」
平日は仕事で城内に
「できることがあったら協力するので、何でも言ってください」
このぐらい念を押さないと、知らぬ
「俺としては、今から手伝ってもらってもいいんだけどな」
◇
安く作れるが開発コンセプトだから、
完成度を高めるため、ロイは
「パスタが
「同じ主食だから、多少そういう面は出てくる。しかし、よく考えてみてくれ。いくらお腹がすいていても、ごはんを四杯も五杯も食べるのは嫌にならないか? パンでも同様だ。しかし、パスタとパンを
さらに、個人で作ることが難しいパンと違って、乾燥パスタは長期保存が可能な上に、ゆでれば食べることができる。パン食でない地域にも
「パスタとパンは
「そうだ。ただでさえ、小麦粉は
◇
試食会当日。アシュリーの屋敷へ向かう前にダイアンを迎えに行く。
「これが
以前プレゼントしたブローチを、ダイアンは毎日身につけてくれている。いつもは
パスタ料理は村人達にも振る舞う予定なので、ロイが数日がかりで大量のパスタを用意した。もとを
街は五日後にせまったカーニバルのムード一色。一般家庭にも
街を歩いていると、たびたび目にする物がある。それは四メートル程度の
「
予想外に血なまぐさい話だった。中央にくくりつけられているのは、
◇
僕らが調理を担当し、屋敷の
「学長、お探ししました」
「どうかされました?」
「ラッセル・ターナーの
「ラッセル・ターナーですか? いえ……、所在以前に初めて耳にする名前です。その
知っている名前が聞こえたので、後片づけの手を止めた。
「三週間ほど前、レイヴンズヒルへ行くと
パトリックが何か言いたげにこちらをチラッと見た。
「ダベンポート卿のご
ラッセルに続き、トレイシーの名前まで出てきたので話に加わる。トレイシーは対抗戦へ出場するため、レイヴンズヒルに来ているのだろう。
「事情はわかりましたが、なぜ私のところへ?」
「情報がなく困っていたところ、トレイシー・ダベンポートが学長の屋敷から出てきたのを目撃した人物がおりまして。その確認のために
「私の屋敷からですか……? ちなみに、いつ頃の話ですか?」
「十日ほど前とうかがっております。その後、レイヴン城へ向かったそうですが」
「その時期に
「私も存じ上げないのですが、
「トレイシーとラッセルが行方不明なんですか?」
「ウォルターはお
「二人とは会ってませんけど、同じチームのギルとなら会いましたよ」
「ギル・プレスコットですか?」
「はい。名字はうろ覚えですけど」
「金髪の……?」
「金髪で少しぶっきらぼうな人です」
◇
目撃者の
「これを預かっています」
「何ですか?」
「パーティーの招待状です。ロイの分もあります」
「僕の分もですか?」
ロイが意外そうに言った。誰かと思えば、ベレスフォード卿からだ。一度会っただけのロイを、きっちり覚えているどころか、パーティーに招待するとは。
僕達を抱き込む気が見え見えだから、とても行く気になれない。けれど、ヒューゴがパーティーの話をしていたのを思い出す。右腕であるデリック・ソーンと会うチャンスかもしれない。
「学長も招待されているんですか?」
「はい。私は招待を受けるつもりです」
ヒューゴが
「私も招待されました」
アシュリーが弱々しい声で言った。対立する相手にまで招待状を送るとは
そばに控えた
スージーが「パーティーですか」と招待状を
「
「本当ですか?」
ロイが出席する方向で話を進めているけど、今回は自分も同じ気持ち。例の話がなければ、アシュリーの
実は『水路のゾンビ』の話は、まだ誰にも伝えていない。ヒューゴが調査を続けている以上、いたずらに話を広めたくないし、ぬか喜びさせたくなかった。
とりあえず、招待状のことをヒューゴに報告しよう。みんなに伝えるのは、その後でも遅くはない。
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