対抗戦対策会議
魔導士の
ダイアンも待ち望むカーニバルへの関心もあるけど、その二日後から始まる対抗戦のことで、今は頭がいっぱいだ。なぜなら、ストロングホールドで出会ったトレイシーと試合をする約束をかわしたからだ。
ベレスフォード
対抗戦に
「トレイシー・ダベンポートって言ったら、
スコットの話を聞いて、「えっ……?」と思わず
「ただ、
例の事件とは、中央広場事件の前に〈樹海〉で起きた戦闘のことを指しているのだろう。トップの
「確かその方、去年の
でも、九って言ったら
ケイトが
「確か、あの人は『水』と『氷』の組み合わせだったな。つまり、ジェネラル戦を見すえた
「そこまで考えてなかったけど……」
「ウォルターは本気でジェネラルを
「そういうことか。その人に『風』オンリーでどう対抗するか、俺に聞きたいってわけだな。あらゆる組み合わせと
「耳を貸してはいけません。好き
話が切り出しにくい。重大な問題とは魔法の
「その話をどうして俺に聞こうと思った?」
「確かにお
「スコットも
「俺は
エーテルの
エーテル
そんなわけで、接近戦では能力ぬきで戦うしかない。けれど、上位陣と
少しでもその差を
トレイシーは
「難しいことではないです。私が代わりに教えます」
「
「私の指輪をお貸しします。今日から試合の日まで、みっちり練習しましょう。安心してください、この指輪は本物です」
ケイトがはずした指輪を僕の手のひらにおさめ、望みをたくすようにギュッと両手でにぎりしめる。
「まずは『火』を出してみましょう」
差し出した右手の
「さすがです! これなら、
我ながら
その時、スコットが不満そうな顔で
「せっかくだから、五つの属性を残らず連携させてみるか」
「
僕は「やってみる」と応じるも、
そして、それを押し出すイメージで、続けざまに『風』を発動した。すると、
「吹き飛ばしちゃダメですよ!」
「あれあれ? どうした、ウォルター?」
スコットが声を
「炎を風に乗せて操る感じです」
ケイトのアドバイスはピンとこない。自分でもそうしたつもりだった。
一回目より
ケイトが「えー……」と言葉を失う。対して、スコットは喜びがこらえ切れない様子で、ポンと僕の肩に優しく手を置いた。
「あきらめろ。ウォルターの魔法は
パトリックは〈
「ウォルター、忘れたのか? お前は『風』のみで、事もなげにデビッドを
「時間はあります。あせらずゆっくり考えましょう」
魔法の連携に失敗することを、一度パトリックに相談しようか。ただ、彼は魔法を研究していても、使うこと自体は
ふいにケイトが僕の肩に手をかけ、スコットに背を向けさせた。背後のスコットは
「あの……、ちょっといいですか? スコットのことで相談があるんです」
そう切り出し、隠す気がさらさらない
「うちの
でも、『俺は『風』のみでのし上がる』なんて
「俺、
「素直に『火』と『風』の組み合わせで試合にのぞめば、序列をもらえる実力を持っているんです。そこでお願いなんですけど、ウォルターのほうから、スコットに
僕は「うん……」と言葉をにごす。
「別に悪い気はしないけど、この距離だと
ケイトもわざと聞こえるようにしていた。相手を思っての発言だから、スコットの言葉に
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