7-18:The vicious beastー狂獣鬼「ゼン・ヘン」ー
「
壁から生えているツルは、
「ジュジはそっちには行かないし、お前らも必要ない」
ジュジと同じ顔で
フィルが連れ去られたりせずに、自分のすぐ後ろにいることを確かめてから、正面で腕組みをしている
「クフフ……まあ、怒るな。我は姫の意思を尊重するためにここに姿を現したのだからなぁ。問答無用でお前を捕らえることも出来るのだぞ?」
「……話してみろ」
「あの白蛇の小僧が
白蛇の小僧……恐らくミエドのことだろう。
夜が訪れる度に生まれ変わる不滅の獣
「旧きまつろわぬ神の獣からどうくすねたのかはわからぬが、それは
謳うように、
「旧き神、異界から来た神の獣、古都の神、豊穣の神の分身、呪われた
「なにをいってるかあたしには全然わからねえ」
頭をガシガシと掻いてそういったフィルに、俺と
「……
「クフ……
頭から生えた茨をうねうねと伸ばして、フィルのことを指した
「どういうことだ」
「時を刻まぬヒトの子、お前の魔力と周囲から吸い上げる魔力で
茨のツルで出来た鳥籠には、薔薇色の
「……我らが姫は、甘き夢の世界からお前を吐き出し、今は再び眠りに就いている。……ああ、丁度良い」
わざわざ
話を切り上げて、にたりと笑いながら視線を俺たちの背後に向けるこいつの視線を追いかけて、俺とフィルは後ろを振り向く。
「クフフ……あれらの獣が、蛇の小僧によって
視線の先にある壁の表面を覆っていたツルが何本か解け、向こう側が見えるようになった。
壁向こうには、小さな家一軒くらいの高さはありそうなくらいの獣が一匹、地団駄を踏んで暴れ回っている。
枝に似た大振りで褐色の角は
「まつろわぬ神の乗る獣には
小さく漏らしたフィルの悲鳴に気が付いたのか、光を全て吸い取ってしまいそうな漆黒の双眸がこちらを向いた。
「あれらは我らと同じく
壁に生えているツルを引きちぎり、暴れ狂う
「あの獣らにちいと躾をしてくれ」
簡単そうに言いやがる。そう思ったが口に出さずにいると、
「外側に迷惑もかけず、
「言うことを聞いてやりたいのがは山々だが、あいにく俺の魔力は枯渇寸前だ」
俺の魔力が万全だったとして、気楽に戦える相手かというと、そんなことはないが……。
このまま戦っても一方的に嬲られるのがオチだ。
不満を口にすると、
「魔力ならほれ、そこに我らが愛し仔がいるだろう? お前の使っていた
舌打ちをする俺を無視して、
「
めるというのは莫大な魔力を消耗するからなぁ」
ジュジと同じ顔と声で、ジュジがしないような「ひっひ」という悪辣な笑い声を漏らして、
そして、ツルを操ってこちらへ近付いて来たかと思うと、先ほどから無言で立っているフィルの目前に移動をする。
「我らが愛し仔とその姉よ、こいつに魔力を渡したらお前を姉共々先に外へ運んでやろう」
不思議そうな表情を浮かべたあいつの顎を指先でクイッと持ち上げた
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