275話
「誤解?」
「お前のその眼は完全に異性として意識してる目だろうが、早いところ始末しておかないと美奈穂ちゃんが危ない」
「そうだな、あの子には幸せになって欲しい」
「待って! マジで止めて! なんだその特殊な縛り方は!!」
「亀甲縛りだ!」
「なんでそんな縛り方知ってんだよ!!」
「全く、まさか妹にまで欲情するなんて」
「地獄に落ちろ」
「いやぁぁぁあ! もう止めて! 誠実君のライフはとっくにゼロよ!!」
そんな事をしているとまたしても部屋に美奈穂が入って来た。
「あぁもう!! うるさいって言ってるでしょ! 静かにして!!」
「あ……はい」
「すまん……」
「み、美奈穂……」
「おにぃ……」
「はい」
「それ……趣味?」
「ご、誤解だぁぁぁぁぁぁぁ!!」
この日、亀甲縛りをされる誠実を見た美奈穂は翌日まで誠実に冷たい視線を送ったそうな。
*
生徒会への貸出期間を終えた誠実は有意義な放課後を送っていた……はずだった……。
「なんで俺まだ生徒会の手伝いしてるんですか?」
「まぁそう言うなって、もう僕と誠実君は先輩後輩の中じゃないか」
「随分都合の良い関係っすね」
会長を止められなかった日の翌日、この日も誠実は生徒会室に来ていた。
本当ならもう貸出期間は終わりのはずなのだが、放課後に半ば無理やり会長である徹に連れて来られたのだ。
「でも、他の皆さんはどうしたんですか? 誰も居ないなんて珍しい……」
「あぁ、今日は生徒会の仕事じゃないからね」
「そうなんですか?」
「あぁ、完全に僕個人が呼び出しただけだ!」
「どっちにしても面倒だな……それで何の用なんですか?」
「あぁ、昨日はダメだったが今日こそはリベンジだ! 怜子に告白する!!」
「え!?」
恋に盲目な生徒会長に誠実は若干不安を感じていた。
今現在怜子は他男子から特殊な告白を受けて途惑っている。
そこに更に会長が告白なんてすればどうなるか分からない。
もしかしたら怜子が混乱して会長が振られてしまうかもしれない。
「さぁ、もう怜子は校舎裏に呼び出した! 一緒に行こう!!」
「ちょ! ちょっと待って下さい!! なんで俺まで? てか行動力ありすぎでしょ!!」
「いやなんか緊張するだろ? それに行動は早い方が良いだろ!!」
「中学生の集団告白じゃないんすから……」
「という訳で早速行こう!!」
「え、いやでも俺が行くのは……」
「大丈夫! 影で見てるだけで良いから!!」
「そう言うことじゃ……」
「とにかくもう時間なんだ! さぁ行こう!!」
「え! いやちょっと!!」
誠実は徹に連れられそのまま放課後校舎裏にやって来た。
「あの……」
「なんだ?」
「なんか先客居るんですけど……」
「そうだな……」
しかし、校舎裏に居たのは怜子だけではなかった。
なんと怜子の他に男が居たのだ。
「誰だあの男性生徒は!!」
「知らないっすよ! てか会長がここに怜子先輩を呼んだんでしょ!」
「そのはずだが……あんな男は呼んでいない!」
「どうするんですか? なんか完全に出ずらい雰囲気になってますけど、何を話してるんですかね?」
「分からん、少し覗いて見るか」
誠実と徹は聞き耳を立て二人が何を話しているのかを聞いた。
「あ、あの田宮さんこの前の事考えてくれた?」
「考えましたけど……でも私は貴方にどう答えたら良いか……」
「お願いします! 付き合うか、それダメなら俺を一回踏んでください!!」
そんな話を影で聞いて居た徹は気が気ではなかった。
「おい! なんなんだあの男は!! なんか付き合うと踏んでくれとか言ってるぞ!!」
「あぁ、あの人が……」
「なんだ! 知ってるのか誠二君!! なんなんだあの変態は!」
「えっとその理解で合ってます。恐らくですけどただの変態です」
誠実はその男が栞から聞いた怜子に告白した男子生徒だと気が付いていた。
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