272話
*
放課後、今日は誠実の最後の生徒会での仕事だ。
いつも通り作業をこなしながら誠実は徹と怜子の方を確認する。
結局徹は怜子に引きづられて生徒会室にやって来た。
本当にサボるつもりだったらしく、徹の頭には大きなコブが出来ており、怜子からの制裁を受けたことが想像出来た。
(いつも通りだな……それにしてもなんで栞先輩が二人の邪魔をしたんだ?)
栞の方を見ながら誠実は昼間の会長の話を思い出す。
「ん?」
「あ……さ、さーて仕事仕事……」
栞を見すぎてめが会ってしまった誠実。
そんな誠実を見て栞は嬉しそうに近付いて行く。
「私に何か用ですか?」
「あ、いやなんでも無いです」
「そうですか、じゃぁなぜ私を見ていたのですか?」
「そ、それは……」
(もう聞いてしまうか? でももし聞いてダメな訳があったら……)
悩む誠実に栞は笑みを浮かべながら囁く。
「もしかして良い難いことですか? それならこれから二人きりになれる場所にでも行きますか?」
栞は半分冗談のつもりでそう言った。
しかし、その提案は誠実には願ってもない提案であり、誠実は直ぐに返答した。
「行きましょう!」
「え? あ、ほ…本当ですか?」
「はい! 俺先輩にここでは聞けないことを聞きたいんです!」
「こ、ここでは聞けないこと?」
誠実はだた純粋に昼の徹の話の真意を探りたかったのだが、対する栞は思い人からのそんな発言に顔を赤く染めていた。
公の場では聞けない話と聞き、栞はすこし変な想像をしてしまう。
「あ、あの……え、エッチな質問とかは無理ですよ?」
「はい? なんでそんな質問を自分が先輩にするんですか?」
「あー、はい。わかりました。そう言う感じですか」
「え?」
誠実の反応に栞はため息を吐く。
栞自身少しだけ期待した面もあった。
しかし、誠実の反応を見て絶対に自分に関する話ではないと悟ってしまい、一気にテンションが落ちた。
「じゃぁ、行きましょうか」
「はい」
誠実と栞はそう言って生徒会質を後にした。
残った侑大はそんな二人を見ながら会長に向かって話す。
「確か蓬清って伊敷に振られてるんですよね?」
「あぁ、そう言う話だが?」
「なんか傍からはそんな風には見えないなぁ~」
「何を言っているんだ、振った振られたの関係でもあぁして仲良くすることは良いことではないか」
「そうっすけど、普通はお互い距離をおきません?」
「そうなのか? 僕はそんな経験無いからなぁ……」
「今もなんか二人でコソコソ話をして出て行きましたし、もしかして何か変な関係に落ち着いてたりしないっすかね?」
「変な関係?」
「いわゆる身体の関係っすよ」
「何を馬鹿な事を言ってるの?」
仕事そっちのけで話をする徹と侑大に向かって怜子がそう言う。
「いやでも思いません?」
「蓬清さんに限ってそんなことあるわけないでしょ?」
「そうだ、誠実君だってそんな中途半端な関係にするとは思えない」
「もしかしたら、蓬清先輩から言い出して伊敷が断れないのかもしれないっすよ? 生徒会の手伝いだってそういう関係だからってことで伊敷が来たのかもしんないっす」
「それは新聞部の廃部の件を延長することと引き換えだと報告されています」
二人の関係を怪しむ生徒会の三人。
忙しい時期にも関わらず、誠実の働きで生徒会の仕事は結構落ち着いてきていた。
そのためやる事があまりなく三人は暇つぶしを兼ねて三人は誠実と栞の後を追って見ることにした。
*
「それでどうしたんですか?」
「いや、実は昼間のことを聞きたくて」
「昼? 私誠実君とお話しましたか?」
「いえ、会長と怜子先輩のことです」
「会長? あぁ、もしかして会長に聞いたのですか?」
「はい……あのなんで先輩は二人の邪魔を? 何か理由があったんですか?」
誠実と栞は生徒会質の二つ隣の教室に来ていた。
空き教室のそこは角の部屋ということもあり、放課後は人通りが少ない。
質問をされ、栞は少し考えた。
あの怜子の発言を誠実にも話して良いものかと。
しかし、怜子の斜め上過ぎる相談に栞が悩んでいたのも事実であり、栞は事の顛末を誠実に話すことにした。
「実は……」
「はい」
「田宮先輩が女王様に目覚めてしまったかもしれないんです」
「は、はい?」
「踏んでみたいそうです」
「え? あ、あの先輩一から説明お願いします」
誠実に言われ栞は何があったかを説明した。
「なるほど、そんなことが」
「はい、私どうしたら良いか分からないくて……しかも会長が急に先輩を呼び出そうとするものですから……」
「告白だってよく分かりましたね」
「雰囲気でわかります。会長ソワソワしてましたから」
「なるほど……しかし、困りましたね。まさか田宮先輩が告白されたなんて……」
「不思議なことではないのですが、厄介なことに先輩がその気持ちを恋と勘違いしていることなんです」
「本当に厄介ですね」
「伊敷君はそういう趣味はわかりますか? 私はそういうのはさっぱりで」
「俺もさっぱりですよ」
「そうですよね……踏まれるのの何が良いのかしら? 誠実君少し踏んで見て良いかしら?」
「いや、なんでそうなるんですか!」
「やってみたら分かるかと思いまして」
「あぁ、もう上履き脱いでるし! 止めてくださいよ!」
そう言う誠実だったが、実は栞の綺麗な細く白い足に少しなら踏まれても良いかも知れないと変態チックなことを思っていた。
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